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「暮らし方上手」コラムの記事一覧

気持ち次第でチャンスあり

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私も50歳半ば。体調というか身体の働き?が以前と変わってきていることを実感しています。

 

ちょうどコロナ前に体調が優れない日が続き、もしかして…と思い血圧を測ると少し高め。

 

母が同じく50歳代で高血圧になり、亡くなるまで血圧を下げる薬を服用していました。母は胃腸が弱く薬も負担で苦労していたので、私はその薬を飲むことにとても抵抗があります。

 

その時はまだ少し高いだけだったので真剣に調べることなく、今思い返すと、コロナで一時期仕事のペースが緩くなり、長女と一緒にウォーキングする時間も増えたためか、自然と体調も戻っていきました。

 

しかしこの春頃から、再び体調が優れず疲れがとれない感じが続いて、更年期かなぁ…と思いつつ、7月に夫から「血圧測っている?」と聞かれ恐る恐る血圧を測ると前より高く、慌てて薬を使わず血圧を下げる方法を調べました。

 

心を決めてできることから実践し、最近やっと血圧はほぼ正常値まで下がり、ひと安心しているところです。

 

そんな折、海外に住む友人がSNSで紹介していた建築家・安藤忠雄さんのインタビュー記事に、思いがけず励まされました。

 

79歳になった安藤さんは、ガンの手術で2回に分けて5つの臓器を摘出されているにも関わらず、ガンを患う前より体調がよいそうです。理由は、主治医に「2つだけ守ってもらえれば、元気に過ごせます」と言われ実践されているからです。

 

ひとつめは消火器系の内臓負担を軽減するために食事をよく噛み40分かけること。『耳が痛い』という人も多いと思いますが、日本人の平均食事時間は10分。案外できていないことなんです。

 

ふたつめは、1日1万歩は歩くこと。これは私も今、できる限り実践しています。これも意識しないとできないでしょう。

 

そして何より励まされたのは、安藤さんがご自身の事務所の所員さん(50歳)に掛けられた言葉。「今から新しいことを始めても80歳までまだ30年ある。気持ち次第で、これから先いくらでもチャンスはあるよ」

 

老いを感じ始める50歳代。身体だけでなく心も老いていきそうになりますが、今の私にとても沁みた言葉でした。何事もあきらめずにがんばりましょう!

 

(「木族」2021年10月号より)

しっかりと対応したい

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我が家を改装して早5年。杉板フローリングの足触りは四季を通してとても心地が良く、年々色が深みを増し、艶も出てきて良い感じです。未だ香りもしています。杉材はとてもお勧めなのですが、化学物質過敏症の方は、杉材からでる匂い(天然の化学物質)にも反応されて難しい場合もあります。

 

4年前に設計した60代の化学物質過敏症のお施主様は杉の香りは大丈夫でしたが、病気になっても入院できず、老いても施設へ入所できないので、安心できる終の棲家が欲しいと切実な想いでした。住んでいなかったご実家に戻られ、古い家を改装しようと思われたようですが、床下からの防蟻処理の臭いで難しく、新築でゆっくりとしっかり一つ一つ確認しながらの住まいづくりになりました。

 

計画途中に同居されている80代のお母様が転倒して介護が必要になり、室内に新しい介護ベットを運び込んだとたん、お施主様の身体が反応し、その部屋に入れなくなりました。簡単な形のベットなら杉材でも造ることはできますが、介護用は機械を組み込むので難しく、結局、長くお店で展示して臭いが抜けた物を介護士さんが見つけてなんとか凌げました。家具の選定も大変です。

 

移り住まれてからもお元気そうにされていましたが、この春、昨年秋から隣地の田んぼに散布された農薬が原因で体調を崩されているとお聞きし、とても心配です。計画時から農薬散布の時期も持ち主に確認して、高いブロック塀で遮り、外気を極力室内へ入れないようにしていても、農薬散布は毎年のことですし、無農薬に変えてもらうことも難しいです。

 

現在マンション改装工事中の方は、杉材は無理ですが、室内用水性木材保護塗料を塗布して1ケ月程置くと身体が反応しにくくなることがわかりました。かといって多用は禁物なので、収納の床のみに使いました。詳しくは次号の施主の本音でお話し頂けます。大規模改修が今秋にあり、塗料の臭いもですが、ベランダに干す洗濯物の洗剤の臭いが、マンション全体に掛けられる養生シート内で充満することを恐れられています。

 

空気には境界が無く、ご本人だけの防御にも限界がありますし、生活もあるので人から離れた所に住むこともできません。まずは現状を知ってもらうことが大切かと思います。

 

(「木族」2021年8月号より)

 

マンションの困りごと

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早い梅雨入りで、洗濯物の室内干しにうんざりされている方も多いかと思います。

 

昨年より、マンション改装の設計の仕事が続いています。ご依頼は、そろそろ内装を綺麗にしたくなる築20数年以上のお住いで、その時代の流行りなのか、効率を考えてなのか、ほとんどが、玄関を入って長い廊下があり、廊下を挟んで左右に洋室2室とトイレ、洗面所が面し、リビングダイニングに和室1室が繋がり、少し囲った対面キッチンという間取りです。

 

その中で、よくお聞きするお困り事は…

 

「玄関扉やリビングの扉を開けると風が通るのに…」

 

1部屋ずつ区切った間取りから、壁全体を天井まで立ち上げず、欄間部分を開けたり、室内建具を工夫すると風も抜けます。

 

「窓の結露がひどい」

 

マンションは気密性が高く、調湿性の無い内装材が多く使われるためか、断熱性能が低くペアガラスでないガラス1枚の窓は外気の冷たさで結露します。

 

マンション規約にもよりますが内窓を設置して断熱性能を上げ、内装材を杉板や塗り壁「微風」のように調湿する素材に変更して温度を下げると効果が出ます。

 

マンションは無垢材によるフローリングが使えないと思われている方も多いですが、適切な下地を施すと可能です。

 

その他、マンションでは給湯・給排水配管による床の段差や、換気配管や梁の凸凹で天井が低いところもあります。大きく水周りの位置は変えることはできませんが、少し変えるだけで段差を解消したり、目立たなくすることが出来るところもあります。

 

5月から、築30年の大阪市のマンション改装が始まりました。ほぼ全面改装なので、解体処理や資材運搬などもエレベーターや階段を上り下りして大変な作業です。

 

今まで見えなかった天井・壁・床の納め方や使っているモノ(素材など)は解体して分かることも多く、30年前の新築時の職人さんの考えに触れられるのも改装工事の面白いところです。

 

6月26日にお施主様のご厚意で見学会を開催します。完成した姿では見えないエピソード等もお伝えしたいです。また、マンション改装のセミナーも行いますので、ご興味のある方は是非ご参加下さい。

 

(「木族」2021年6月号より

この家を活かしたい

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改装(リフォーム・リノベーション)や古民家再生は新築とは違い、その家の歴史や思い出があり、住む方の「この家を活かしたい」と思う気持ちが大切な軸になります。

 

特に古民家再生は、暮らしの変化で建築当初の間取りでは住みにくく、広範囲に手を加える必要もあり金額がかさみます。管理しやすいように効率の良い間取りの新築にしたほうがいいのか悩みどころです。

 

数年前、若いご夫婦とお子さま2人のご家族から、リノベーションの相談がありました。

結婚時に、ご主人様のお父様が幼い時から住んでいた3棟長屋を切り離した最後の端家を、若い夫婦の為に改装してくれた古民家です。

 

お悩みは、水回りの不具合と、1階全体が暗いことでした。いずれは建て替えをするよう計画的に貯金もされていたのですが、色々とタイミングが合わず、また新築にすると木造3階建てになる立地で、2階建てのほうが住みやすいので、リノベーションを選ばれました。

 

1階にあったLDKを2階に移し、延べ床面積21坪の全改装です。

 

内部解体が始まると、タイムカプセルを開けたかのように建築当時の木構造が見え、その時代の木材事情や大工さんの考えがわかるとても好きな瞬間です。松丸太の小屋梁に昭和16年の棟上げをした日が刻まれていました。ご家族も感動されたのはいうまでもありません。梁下に天井を張るのをやめて古色の小屋梁を見せたLDKは、新築には無い味わいで、幼い時からの思い出を持つご主人にもとても喜んで頂きました。

 

完成見学会に、「なんということでしょう~♪」と踊りながら言ってくれた小学校入学間もない長男さんが、この春中学生に年賀状で知りました。時が経つのは早いもので、懐かしく思い出しました。

 

5月の堺セミナーで初めて「古民家のリノベーション」を行います。古い家を活かしたい方のご参考になればと思います。

 

(「木族」2021年4月号より)

 

杉と微風でアトピーが劇的改善

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昨夏に築31年の木造2階建てにお住まいで、主に1階LDKの改装をした方より、2階の和室の畳も杉板に張り替えたいと冬前にご依頼がありました。

 

1階の改装工事中に、仮住まいへ引っ越しをされたのですが、1歳の時から専門医にかかる重度のアトピーのお子様が、その仮住まいで症状が悪化し困られたそうです。やっと改装工事が終わった家に戻ると、杉のいい香りがしていて、ご家族みんな大喜びです。しかしお子様は、杉板にした1階では症状が出ないのに、寝室にしている2階の和室へ上がると症状が出ます。

 

これは畳が原因?と思い、他の安心できると思った方を通じて畳屋さんに下見に来てもらったのですが、その畳屋さんから「アトピーならこの畳表がいいよ」と樹脂でできた畳表を勧められ違和感しかなく、ご夫婦で話し合われ、それならば杉板にしたほうが安心と切り替え、お声をかけていただいた次第です。

 

今回2階の和室だけでなく、階段や廊下の床も杉板で増し張りし、家中の合板の床は見えなくなり、前回に引き続き、和室の壁をご親族も参加してご家族で『微風』塗りに再チャレンジされました。

 

年明けにお子様のアトピー外来の主治医さんから「もう何も言うことないよ」と通院の終わりを告げられたそうです。他の手立てを尽くされたこともありますが、杉と『微風』の効果と喜ばれています。

 

最初お会いした時は、「この家にずっと住むかわからないけど…」とお話しされていましたが、杉と『微風』で空気が変わり、ご家族で塗った思い出もあり、長く愛される家になったと感じて変化したのではないでしょうか。

 

(「木族」2021年2月号より)

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