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「暮らし下手」コラムの記事一覧

「工務店設計」いつか形になれば

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私の設計哲学?

 

人間忙しくなると配慮に欠けてしまったり言葉尻が強くなってしまったり、自分の小ささを再認識させられるよう。まだまだ修行が足りないなと反省です。

 

さて、事務所では建築を学ぶ学生を半年に2人ほどのペースで定期的に迎え入れて、模型づくりや現場見学を通じて建築について学んでもらう機会を提供しています。新鮮な発想や気持ちの人が事務所に出入りすると、それだけで雰囲気も明るくなるので、とても楽しみにしているイベントでもあります。

 

学生にとって、単に模型づくりや見学で終わってしまうのも忍びないので、必ず最後の15分、学生からの質疑に答える時間を作っているのですが、真面目な顔で「中津さんの目指す設計はどんなものですか?」と難しいことを聞いてきたりする。そんな事考えたこともないとも言えず、最近はどうかなぁ~とぼんやり考えながら言葉にしていると、少しずつ考えもまとまり、最近は「工務店設計を形にしたい」と話すようにしています。

 

それは、意匠性や思想だけを優先して、使い勝手や耐久性をおざなりにした家もなんだか違うし、メーカーのようにすべて規格化された家もつまらない。

 

工務店だからこそできる面白い家があるんじゃないかと、設計を始めてからぼんやり考えていたことが、最近、竣工した家に少し実態として残るようになってきたからです。

 

現場の大工さんの意見を取り入れた手摺りや、設計が意地で残した角の丸面、施主さんの暮らしが反映された窓、経済性を優先した素材選び。いろんなものが柔軟に、だれかの意見だけが特筆することなく、でも1つの哲学も持って綺麗にまとまった家。そんな家ができたらいいなぁと。

 

それを聞いてポカーンとした顔の学生にも、いつか伝わるほど明確な形になればいいなと思います。

 

(2022年木族10月号より)

最近やっと「いい両親」

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【私の小さなファミリーストーリー】

 

父は青森県七戸出身の自他共に認める田舎者で、大学への進学で東京へ出たものの仕事が上手く行かず、人づてに大阪までやってきてついに母の勤める会社で二人は出会ったらしい。

 

地味な人だからお金はしっかり貯めていると思うよ、と同僚からも結婚を勧められた母だったけれど、婚約後蓋を開けてみれば、いったい何に使っているのか父には一銭の貯金も無く、父はゼロからのスタートじゃないか。と母に一言、母は泣きながら騙されたと実家に電話を入れたそう。

 

祖母は若い二人のことだからと理解を示していたが、祖父は厳しく、そんな田舎者に娘をやれるかっ!と、父が母の実家へ結婚の申し込みに行く日も断る気でいたらしかった。

 

祖父は大阪で杜氏を務めており、菜園づくりも趣味で、部屋にはお庭で採れた瓢箪で作ったお酒の入れ物がいくつも飾ってあった。結婚の挨拶に向かった父が、気まずい空気の中で、必死に話題を探そうと部屋を探して見つけたのもその瓢箪だった。

 

「瓢箪といえば豊臣秀吉でしょうか。彼があれだけの出世が出来たのも、ねねさんのおかげだそうで…」と得意の歴史の話に重ねて、いつか出世し、母には不自由はさせない思いである事を暗に伝えたそう。その話を聞いた祖父は、ころっと落とされてしまい、めでたく今の私まで家系図が続くことになった。

 

これが祖母から聞いた私の両親の思い出話で一番好きな話。先日、従妹の結婚式に出席した際ふとその話を思い出して、着物の母に「秀吉の奥さんやね。」と言うと、何を勘違いしたのか「わてが惚れた男がたまたま、、、」と極道の妻たちのセリフを披露してくれた。

 

いい両親の間に生まれたなと最近やっと思えるようになりました。

 

(「木族」2022年6月号より)

良い設計士をめざし

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【許容応力度計算はじめました。】

住まいの新築を行うとき、その建物が法律で決められた強度がある事を示さなくてはなりません。その強度を示す方法には、一般的な2階建ての住宅の場合「壁量計算」と「許容応力度計算」の2つの方法があって、どちらを用いても大丈夫です。

 

「壁量計算」とは、名前の通り、地震や風の力に対して倒れないように丈夫に作られた耐力壁と呼ばれる壁の量を数えて、規定の数量以上あるかチェックする方法です。簡易で体系化された方法のため、最も広く用いられている方法です。

 

これに対して「許容応力度計算」は、柱、梁など、実際に加わる力の伝わり方をなぞるように、構造部材一つ一つの強度と材寸を計算により確認していきます。当然、計算量も膨大になり時間もかかります。

 

さて、ここでどちらが良いかと言われると、当然許容応力度計算になる訳ですが、壁量計算の家が弱くて危険という訳ではありません。大切なのは設計者がその建物の事をよく理解した上で設計できているか?そちらの方が大切に感じます。

 

今はソフトがあればコンピュータで誰でも簡単に許容応力度計算が行えます。知識がなくても『計算上』は丈夫な家が作れるかもしれません。また許容応力度計算は、壁量計算に比べて緻密に計算する分、余裕を見ないギリギリの設計も可能です。3階建ての木造建築は、この許容応力度計算が義務付けられていますが、掘り込みガレージ付きの3階建ての細長い建物を見ながら少し考えてしまいます。

 

昨年、構造設計の友人と共働し木造で大空間のある建物を実現しました。手計算で許容応力度計算をさらりとやってのける彼に構造の考え方を学びながら、1年間少しづつノウハウと自信をつけて、満を持して今年から「許容応力度計算」はじめました。強力な武器も使い手次第、よい設計士でありたいと思います。

 

(「木族」2022年4月号より)

夫婦で1つ?別々?

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昨年コロナも落ち着いたころ、夜景で有名なホテルに宿泊しました。フロントでチェックインすると、部屋に空きがあり、無料でアップグレートしてくれるそう。

 

フロントのお兄さんの「ツインとダブルのお部屋がございますが、どちらにされますか」との質問に、すかさず彼女が「ツインのお部屋で」と返事をしました。驚きで目がまん丸の私。普段から一緒に寝てるのに、今日に限ってどうして?何か怒らせた?と思案するも答えは出ず。ポーターに連れられてツインルームへ。

 

どうしても気になって、ポーターが部屋を出て行ってすかさず、「なんでツインなん?」と聞くと「旅行の時ぐらい大きいベッド独り占めしたいし、いびき、寝相、諸々の理由、以下関係のない長文の説教」と聞いたことを後悔するほど芋づる式に普段の行いを正され、夜景も霞む旅行となりました。

 

さて、夫婦の寝室問題、これは設計で非常によく出くわす問題です。一緒に寝てますか?別々ですか?なんとなく聞きづらい質問なのですが、ベッドの配置や大きさによって当然コンセントの位置や間取りも変わり、仕事に出かける時間等の生活リズムの違いによって寝室の配置にも影響が出ます。

 

今までの実例からすると、新築の場合夫婦で寝室を1つにするのが一般的ですが、特に年配の夫婦ではいびきや生活リズムの違いから、別々の寝室が良いと言う要望も多いです。いびきぐらい、いいんじゃないの?と思う気持ちもありましたが、今回の一件でいびきの被害を受ける側の気持ちもよくよく理解することができました。ただ、さらに年齢を重ねると、いびきが止まった事に気づかない問題も出てくるようで、部屋は一つでも間仕切りを設けて欲しいなど、付かず離れずの距離感を模索する必要があるようです。

 

私の場合は願わくば末永く一緒に寝れたら幸せなんですけど、皆さんはどうですか?

 

(「木族」2022年2月号より)

モノづくりは気持ちだ

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先日、現場に足を運ぶと、普段から口数の少ない大工さんが珍しく「ここ、ええやろ」とぼそっと呟いて仏間の下を指差しました。

 

養生をめくってみると、貝ノ口(畳と仏間の段差の隙間)が市松模様に組木で細工されていました。普段から口数の少ない大工さんが珍しく「ここ、ええやろ」とぼそっと呟いて仏間の下を指差しました。

 

養生をめくってみると、貝ノ口(畳と仏間の段差の隙間)が市松模様に組木で細工されていました。クゥ~ヤラレタ。思わず感嘆の声が出ます。その大工さん、図面の余白に粋な手仕事を残していました。

 

別の現場では、普段から話好きな大工さんが「ここの階段の格子は俺にまかせぇよ」と一言。いったいどうするつもりかと眺めていると、鼻歌を歌いながら階段から天井にひし形の格子を配置し、段板にくぎを使わず固定します。これまた粋な手仕事、ついついニンマリとしてしまいます。

 

そんな職人気質な大工さん、図面に細かく書き込みが加えられた細部のこだわりには文句も言わず(?)答えてくれます。現場に確証に向かうと「これでええんやろ?」と投げやりな言葉とは裏腹に図面通りに丁寧に仕上げてくれています。

 

楽をしようと思えば簡単な現場で、あえて時間を割いて難しい仕事を選ぶのは、ちょっとカッコイイもん作ってやろうかと物づくりの想いがあるからで、同じように、設計が頭を抱えて考えた納まりを粘り強く実現してくれるのは、それ(設計担当)に似た気持ちを図面から汲んでくれているからだろうなと思います。

 

時に「そんなんできない」と一言で話の終わる職人がいる中で本当にありがたい事です。ちょっと古風ですが、やっぱりモノづくりは気持ちやなとつくづく思うのです。

 

(「木族」2021年12月号より)

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