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国産材コラム

「工務店設計」いつか形になれば

暮らし下手

私の設計哲学?

 

人間忙しくなると配慮に欠けてしまったり言葉尻が強くなってしまったり、自分の小ささを再認識させられるよう。まだまだ修行が足りないなと反省です。

 

さて、事務所では建築を学ぶ学生を半年に2人ほどのペースで定期的に迎え入れて、模型づくりや現場見学を通じて建築について学んでもらう機会を提供しています。新鮮な発想や気持ちの人が事務所に出入りすると、それだけで雰囲気も明るくなるので、とても楽しみにしているイベントでもあります。

 

学生にとって、単に模型づくりや見学で終わってしまうのも忍びないので、必ず最後の15分、学生からの質疑に答える時間を作っているのですが、真面目な顔で「中津さんの目指す設計はどんなものですか?」と難しいことを聞いてきたりする。そんな事考えたこともないとも言えず、最近はどうかなぁ~とぼんやり考えながら言葉にしていると、少しずつ考えもまとまり、最近は「工務店設計を形にしたい」と話すようにしています。

 

それは、意匠性や思想だけを優先して、使い勝手や耐久性をおざなりにした家もなんだか違うし、メーカーのようにすべて規格化された家もつまらない。

 

工務店だからこそできる面白い家があるんじゃないかと、設計を始めてからぼんやり考えていたことが、最近、竣工した家に少し実態として残るようになってきたからです。

 

現場の大工さんの意見を取り入れた手摺りや、設計が意地で残した角の丸面、施主さんの暮らしが反映された窓、経済性を優先した素材選び。いろんなものが柔軟に、だれかの意見だけが特筆することなく、でも1つの哲学も持って綺麗にまとまった家。そんな家ができたらいいなぁと。

 

それを聞いてポカーンとした顔の学生にも、いつか伝わるほど明確な形になればいいなと思います。

 

(2022年木族10月号より)

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