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国産材コラム

山林は私有と言えども

朴訥の論

現在、日本の森林所有者の87%は保有面積が10ha未満と小規模の所有者で占められ、持ち主の分からない山林は28%にのぼる。相続などで山林を引き継いだものの森林への関心は薄く、細分化された森林は益々低迷に拍車をかけることになる。

 

83%の市町村が管内の民有林の手入れ不足を認識しているとのこと。結果、災害防止や森林の公益的機能の維持にも支障をきたし、近年頻繁に発生している土砂災害などがそれを物語っているようだ。

 

国は森林経営を円滑にするために「森林経営管理法」を制定し、平成31年4月からスタートさせた。適切に管理が出来ない森林の経営管理を能力のある林業経営者に集約化すると同時に、集約できない森林の経営管理を市町村が行うことで、林業の活性を図るというものだ。

 

 

数年前に50haの山林を相続し、放置していることに悩んだ方から相談を受けたことがある。森林組合や市町村に相談したが埒が明かず、悩んだ末に民間の不動産業者に500万円で手離したと伺ったが、その先その山林がどうなったかは知りようもない。今更ながら、あと数年手放すことを我慢していればと悔やまれる。

 

ウッドショックの煽りで国産材が高騰し、それを見越した盗伐なども増えていると聞く。一生懸命育てた農作物を収穫寸前に盗まれる悔しさは聞くだけでも腹立たしいが、世代を超えて受け継がれ、蟻が積み上げるように50有余年育てた森林が、ある日突然、伐採され持ち去られるという悔しさ、虚しさはいかばかりであろう。

 

長い間、国産材の価格は外材価格の影響を受け、コントロールされてきたように思う。需要と供給の関係であることは百も承知しているが…。またここにきて外部の経済事情により価格が煽られるのは国産材を支持してきたものにとっては悩ましい限りだ。

 

運動を始めた頃、国産材は大根より安いと言っていたが、いずれにせよ産地と消費側の双方の事情が分かるだけにつらいものがある。山側にすれば木が売れず長く疲弊した時期を耐え、一転降って沸いたかの様な市場に振り回され動転していることであろう。

 

経済性のみを優先し皆伐(全て伐採すること)が増え、再造林しない山も増えていると聞くが、森林はたとえ個人のものであっても地域を度外視して考えられるものではない。せめて、次世代にバトンを渡せる思慮は持ちたいものだ。

 

(「木族」2021年10月号より)

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