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「暮らし方上手」コラムの記事一覧

マンションの困りごと

暮らし方上手

早い梅雨入りで、洗濯物の室内干しにうんざりされている方も多いかと思います。

 

昨年より、マンション改装の設計の仕事が続いています。ご依頼は、そろそろ内装を綺麗にしたくなる築20数年以上のお住いで、その時代の流行りなのか、効率を考えてなのか、ほとんどが、玄関を入って長い廊下があり、廊下を挟んで左右に洋室2室とトイレ、洗面所が面し、リビングダイニングに和室1室が繋がり、少し囲った対面キッチンという間取りです。

 

その中で、よくお聞きするお困り事は…

 

「玄関扉やリビングの扉を開けると風が通るのに…」

 

1部屋ずつ区切った間取りから、壁全体を天井まで立ち上げず、欄間部分を開けたり、室内建具を工夫すると風も抜けます。

 

「窓の結露がひどい」

 

マンションは気密性が高く、調湿性の無い内装材が多く使われるためか、断熱性能が低くペアガラスでないガラス1枚の窓は外気の冷たさで結露します。

 

マンション規約にもよりますが内窓を設置して断熱性能を上げ、内装材を杉板や塗り壁「微風」のように調湿する素材に変更して温度を下げると効果が出ます。

 

マンションは無垢材によるフローリングが使えないと思われている方も多いですが、適切な下地を施すと可能です。

 

その他、マンションでは給湯・給排水配管による床の段差や、換気配管や梁の凸凹で天井が低いところもあります。大きく水周りの位置は変えることはできませんが、少し変えるだけで段差を解消したり、目立たなくすることが出来るところもあります。

 

5月から、築30年の大阪市のマンション改装が始まりました。ほぼ全面改装なので、解体処理や資材運搬などもエレベーターや階段を上り下りして大変な作業です。

 

今まで見えなかった天井・壁・床の納め方や使っているモノ(素材など)は解体して分かることも多く、30年前の新築時の職人さんの考えに触れられるのも改装工事の面白いところです。

 

6月26日にお施主様のご厚意で見学会を開催します。完成した姿では見えないエピソード等もお伝えしたいです。また、マンション改装のセミナーも行いますので、ご興味のある方は是非ご参加下さい。

 

(「木族」2021年6月号より

この家を活かしたい

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改装(リフォーム・リノベーション)や古民家再生は新築とは違い、その家の歴史や思い出があり、住む方の「この家を活かしたい」と思う気持ちが大切な軸になります。

 

特に古民家再生は、暮らしの変化で建築当初の間取りでは住みにくく、広範囲に手を加える必要もあり金額がかさみます。管理しやすいように効率の良い間取りの新築にしたほうがいいのか悩みどころです。

 

数年前、若いご夫婦とお子さま2人のご家族から、リノベーションの相談がありました。

結婚時に、ご主人様のお父様が幼い時から住んでいた3棟長屋を切り離した最後の端家を、若い夫婦の為に改装してくれた古民家です。

 

お悩みは、水回りの不具合と、1階全体が暗いことでした。いずれは建て替えをするよう計画的に貯金もされていたのですが、色々とタイミングが合わず、また新築にすると木造3階建てになる立地で、2階建てのほうが住みやすいので、リノベーションを選ばれました。

 

1階にあったLDKを2階に移し、延べ床面積21坪の全改装です。

 

内部解体が始まると、タイムカプセルを開けたかのように建築当時の木構造が見え、その時代の木材事情や大工さんの考えがわかるとても好きな瞬間です。松丸太の小屋梁に昭和16年の棟上げをした日が刻まれていました。ご家族も感動されたのはいうまでもありません。梁下に天井を張るのをやめて古色の小屋梁を見せたLDKは、新築には無い味わいで、幼い時からの思い出を持つご主人にもとても喜んで頂きました。

 

完成見学会に、「なんということでしょう~♪」と踊りながら言ってくれた小学校入学間もない長男さんが、この春中学生に年賀状で知りました。時が経つのは早いもので、懐かしく思い出しました。

 

5月の堺セミナーで初めて「古民家のリノベーション」を行います。古い家を活かしたい方のご参考になればと思います。

 

(「木族」2021年4月号より)

 

杉と微風でアトピーが劇的改善

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昨夏に築31年の木造2階建てにお住まいで、主に1階LDKの改装をした方より、2階の和室の畳も杉板に張り替えたいと冬前にご依頼がありました。

 

1階の改装工事中に、仮住まいへ引っ越しをされたのですが、1歳の時から専門医にかかる重度のアトピーのお子様が、その仮住まいで症状が悪化し困られたそうです。やっと改装工事が終わった家に戻ると、杉のいい香りがしていて、ご家族みんな大喜びです。しかしお子様は、杉板にした1階では症状が出ないのに、寝室にしている2階の和室へ上がると症状が出ます。

 

これは畳が原因?と思い、他の安心できると思った方を通じて畳屋さんに下見に来てもらったのですが、その畳屋さんから「アトピーならこの畳表がいいよ」と樹脂でできた畳表を勧められ違和感しかなく、ご夫婦で話し合われ、それならば杉板にしたほうが安心と切り替え、お声をかけていただいた次第です。

 

今回2階の和室だけでなく、階段や廊下の床も杉板で増し張りし、家中の合板の床は見えなくなり、前回に引き続き、和室の壁をご親族も参加してご家族で『微風』塗りに再チャレンジされました。

 

年明けにお子様のアトピー外来の主治医さんから「もう何も言うことないよ」と通院の終わりを告げられたそうです。他の手立てを尽くされたこともありますが、杉と『微風』の効果と喜ばれています。

 

最初お会いした時は、「この家にずっと住むかわからないけど…」とお話しされていましたが、杉と『微風』で空気が変わり、ご家族で塗った思い出もあり、長く愛される家になったと感じて変化したのではないでしょうか。

 

(「木族」2021年2月号より)

部屋の汚れにも愛しさが

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5年前、長女がウサギを飼いたいと言い出し、専門店でピーターラビットのモデルになった種類で、標準より大きめに生まれた「麦」と出会いました。元気に跳ね回り、愛らしくケージから鼻を突きだし、一目で気に入りました。犬や猫だとふれあいすぎて、いつかはくる別れの時の辛さを考え、ケージ内で飼うウサギに決めたのですが、結局ケージの外にサークルで仕切って走らせ、ふれあいながらのお世話に。

 

平均寿命が6~8年とわかっていたので、そろそろ覚悟も必要かと思っていた矢先の10月、前の日まで元気だった「麦」との突然のあっけない別れ。悲しみの深さは言うまでもありません。

 

20年前に新築設計を担当したお住いでは、ご入居後間もなく子犬2匹を家族の一員として室内に迎えられました。普通は床板の傷を考えますが、そのお住いは杉板です。

 

10年経った時にお伺いすると、愛犬たちは若い頃とても元気だったようで、毎日走った痕とわかるぐらいに杉板の柔らかい部分(春目・早材)が凹み、堅い部分(秋目・晩材)の木目が浮き立っていました。愛犬が作った「浮づくり」です。

 

そして数年後2匹共に看取られ落ち着いた頃に、普段の足触りは気にならないけど、床掃除に膝をつくのが痛くて良い方法がないのかとのご相談がありました。無垢材の良いところで、薄く削れば凸凹も少なくなります。

 

LDK全体を電動サンダーで削り、自然ワックスを塗れば膝をついても大丈夫になりました。きれいになった床を見ると、愛犬が背中をこすりつけてたクロス壁の角の汚れが気になりますが、汚れも愛しい思い出です。今は、保護猫を引き受けられて、愛猫との暮らしを楽しまれています。

 

我が家では、掃除をしたものの、麦のケージを未だ片づけることができません。時が経つことでしか癒せない事を実感している今日この頃です。

 

(「木族」2020年12月号より)

素材は実物で選びたい

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4年前に長男が水筒に麦茶でなく水を入れて持って行きたいと言い始めてから、2ℓのペットボトルの水を箱買いするようになりました。普段でもお茶ではなく常温の水を飲むことが多くなり、月に6箱以上と増えてきて、切らさないように気を付けています。空きペットボトルも嵩高く、なにかと負担になってきたので、もっと簡単に美味しい水を手にできないか検討しているところです。

 

置く場所の都合もあり、水道水を浄水か整水するのが我が家に合っているので、インターネットで調べていくと数種類の機材が候補に残りました。

 

ところが、特に味に敏感な長男の為に試飲して決めたいものの、案外ほとんどのメーカーがそんなサービスを行っていないので正直困っています。納得してから購入したいのですが…。

 

 

そんな折、ご予算の都合で床の杉板張りを断念し、壁クロスの張り替えのみの工事を検討されている方から、左官壁「微風(そよかぜ)」が実際に塗られたところを見たいとご相談がありました。私の自宅近くの方だったので、4年前の改装時に塗った我が家の微風を見に来て頂きました。

 

微風のいいところ、気を付けないといけないところもご説明すると同時に、我が家の杉板(床)が経年変化で色が落ち着いてきている様子も見て頂きました。新しい時と違い、傷もついていますし、大半がワックスも掛け直していない、生活感がある状態です。きれいな写真や小さなサンプルと違い、足触りで杉板の柔らかさを感じ、実際の生活の中の杉板を見て、断念していた杉板を張りたくなったご様子で、

「家族と再度相談します」

と言って帰られました。

 

まだ結果はお聞きしていませんが、選ぶ時は写真でもデータでもなく、実物に触れて感じて決めるのが一番納得できます。

 

私も「水は試飲できない」なんて諦めずに探したいと思います!

 

(「木族」2020年10月号より)

 

 

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