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国産材コラム

コロナめ

朴訥の論

まるでミツバチがスズメバチの襲撃を受け右往左往しているようにも感じる。

 

国産材に関わって40年になるが、国産材の価格は時代の流れとともに、急激に変動することも無く、外材の価格に追随する形で変化してきたように思う。

 

ところが今年に入って木材価格の高騰が耳に入るようになり、取引先の木材産地数件から価格高騰の警鐘が鳴らされた。合板系統も販売数量に規制がかかるという。

 

業界紙によれば、コロナの感染拡大で木材需要も大幅に落ち込むと想定されていたが、いち早く行われた中国経済の再開や、アメリカの在宅生活の広がりが低金利に刺激された住宅需要を促し、コンテナ不足による流通の遅れと相まって木材不足に拍車がかかる。外材の入手が困難となれば日本の林産地へ、国産材の確保へと市場が動き、それにつれて価格も高騰する。

セミナーに以前参加されていた方から問い合わせがあった。

 

息子さんと2世帯住宅を計画中で、現在、地元のビルダーさんと工事契約を結ぶところまで進んでいる。当初、在来工法でも、2×4工法でも建てられるということだったが、ここにきて在来工法は高くなるのでやめた方が良いと言われ、それでも在来工法を押すと木材が品薄で、まして国産材は高くて手に入らない、と断られたそうだ。

 

家は国産材の在来工法でと決めておられたようで国産材住宅推進協会で何とかならないかという。出来れば協会の口利きでそのビルダーさんに国産材を回してもらえないかという状態だった。

 

 

圧倒的な木材の品薄により、日本の林産地への買いあさりなど国産材にも波及している。ところが林産地に大量の木材受注が入ったとしても、山林就労者が不足している今、急峻な山から伐採した材を簡単に出せるものではない。

 

当然従来からの取引先に材は優先されることになる。先の方には残念ながら、どの工務店さんにも取引している仕入れ先があり、日頃使い慣れている木材で、得意とする工法で施工することを勧めるしかなかった。

 

それにしてもコロナの及ぼす影響に今更ながら驚愕する。

 

「風が吹けば桶屋が儲かる」ならいいが、予期せぬ方向に波及し、どういった流れで、何にどこまで影響を及ぼすのか、先が読めないことも不安を煽る。

 

兎に角、出来ることからやるしかなさそうだ。先ずはチャッチャッと予防接種を行き渡らせて貰いたい。

 

(「木族」2021年6月号より)

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