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国産材コラム

相見積りの盲点

朴訥の論

年明け早々寒波襲来で屋外で働く人達にとって、厳しい幕開けとなった。自宅でも戸を開け放つことが少なく、気密性の高い室内の空気は淀みがちだ。

 

現在、他社で建築中の方が内装材の選択に迷い訪ねて来られた。自由設計である程度の選択肢が与えられているようだ。床板をヒノキにしたが階段材をスギかヒノキで迷っている。どちらにも一長一短はある。ヒノキはスギに比べて堅いが滑りやすく、スギは足触りも良いが、柔らかい分キズはつき易い。それを理解した上で選択して欲しい。

 

無垢板にやさしい低音床暖房も希望したが、問題が発生した時、大きな会社の方が安心だという理由で、工務店に取り合ってもらえなかった。扱いなれない製品は工務店にとってはある種の冒険でもあり、よほど強い要望がない限り採用に至らないようだ。

 

最近、建築士事務所民家に、全国展開をするリフォーム専門の営業会社からFAXやメールが頻繁に届く。多数のリフォーム依頼があり、紹介するのでこのエリアの仕事を請けて欲しいという。この営業会社は、登録した工務店の数社から見積りをとり、その中から一社を選択するシステムだ。当然、工事契約が成立すれば工務店は数パーセントの紹介料を営業会社に支払うことになる。

 

 

しかし、たとえユニットバスやキッチンの入れ替えだけであっても、同じ条件の現場は一件たりともない。設備を取り外したところ床の傷みや蟻害がみつかったりと、リフォームには想定外の問題が起きやすい。また中古住宅は大なり小なり柱や梁に歪みが生じ、全て水平、垂直に立っているとは限らない。その為、床板を張り替えるにも下地の調整を行う必要がある。

 

工務店の考え方一つで見積もり価格は上下する。どう施工するかの判断基準となる図面なくして、提示された見積額の高い安いはプロでも見極められない。

 

昨今、相見積りをとることばかりが独り歩きしているが、総ての図面が整ってこそ成り立つ話。図面がなければ、洋服で言えばデザインや生地・裏地、縫製技術レベル等を決めないままに、値段を比較するようなもの。

 

忙しい時代、動かずして欲しい情報が手に入れば重宝するが、ある種リフォームは新築以上に難しい。完成された商品に右から左にお金を払う訳ではない。お施主さんと設計・施工者で創り上げていくものであり、お互いの呼吸が合ってはじめて成り立つ。金額だけに囚われて判断することは避けたいものだ。足を使い、自分の目で確かめたものに勝ることは稀だ。

 

(「木族」2018年1月号より)

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