ついでのついでに、畳について。
昔、畳表は手で縫いつけていた。通りに作業台を据え、太い針でひじを使って(しっかり縫い付けるために)表替えをする職人さんを見かけたことを覚えている。畳表そのものも手作業で編んでいたのだろう。
これが機械加工になって、畳表に使う材料「イグサ」は最低でも畳の幅の長さを必要とすることになったことだろう。つまりイグサは長さが1メートル以上ないと使えなくなった。つまり、育ち盛りのイグサに大量の肥料を与えて長く育てないと商品にならないのだ。
また1本1本選んで編むのではなく、機械で一気に編む必要があり、虫に食われたようなイグサが混じってはならない。育ったイグサに少しでも欠陥のあるものが混じると、その畑1枚は(完全に検品されない限り)、全く使われなくなる。そこで、そんな手間を省くために、当然のことながら農薬がふんだんに使用される。
そして、もっと怖いのが「染色」だ。
人は新しい畳は「青く」なければ変に思う。このため、以前は泥によって変色を抑えた。しかし技術が進んだ(?)今、畳表を染めるようになった。使われた染料が「マラカイトグリーン」。
「マラカイトグリーン」は、本来は天然の鉱物の名前だが、化学合成物質によって作られた染料も、なぜかこう呼ばれるようになった。新畳を水拭きして、雑巾に緑色の染料がつくのは、染めた畳だ。そのほとんどが「マラカイトグリーン」による。この染料には「砒素」が入っていた(今はどうなんだろう)。
蒸し暑い日本の夏、直に畳の上で寝ることもあろう。まだ立つことのできない幼児がその染料を吸ったり、舐めたりしないか。
いまひとつ。一時、昼間は(共稼ぎということもあり)団地などで締め切った部屋でダニが多く発生したことから、畳表の下に「防虫シート」が挟まれるようになった。使われる薬剤は? 農薬。
今、あなたの住まいに、どんな内装材が使われているか。一度調べてみてほしい。
(つづく)