充実した打合せの日々
前回お伝えしました「24坪の家」が無事完成しました。
また、おかげさまで、完成見学会には小さなお子さんを
もつ若いご夫婦が多数参加されました。
施主さんの「ももちゃん」も来てくれました。ももちゃんを
筆頭に子どもたちが家の中を走り回ってけっこう大変でした。
足触りが良く、柔らかい杉の無垢板を使っているせいか、
寝転がって遊んでいる子供も多かったです。気兼ねなく
寝転んだり、這いつくばったりできる素材を使うって、
とてもいいことだなと再認識できました。来ていただいた
お客さんの反応は、「24坪とは思えないくらい広く感じるね。」
「とても明るい家ですね。」というご意見が多かったです。
天井を高くとったことと、東と南から光を充分に取り入れた
からだと思います。
今回のチャレンジの一つとして「採光」がありました。
1階の東には窓を全く設けずに(厳密には設けられなかった
のですが)いかに東面にあるリビングを明るくできるのか。
部屋の隅々まで光を通せるのか。
実際にプランしたのは、2階の階段吹き抜け部の東窓を大きく
とり、1階東のリビングないし西のキッチンまで光を通し、2階の
吹き抜け部の南面も窓を大きくとり、リビングに光を通す。夏、
冬の太陽の角度を計算し、試みました。それがうまくいきました。
東の階段吹き抜け部の窓には木のルーバーを付けることで
優しい光が入ります。南面階段吹き抜け部にはFIX窓と風を
通す横滑り出し窓。奥にみえる格子はベランダの手すり。
スケルトンの階段から光が漏れています。自然美ですね。
キッチンや洗面化粧台を買うようには、光や風はお金では
手に入らない。土地の条件というより、設計の工夫次第で、
光を、風をうまく取り入れることができます。
今回の家づくりの打ち合わせでは、お施主さんから節々に
「水谷さんがそういうならそれで」とか、「いつもありがとう
ございます」「無理をなさらないように」と終始お気遣いいた
だいて、日々とても充実した毎日でした。私も私自身の、
ささやかな存在意識を少しだけ感じることのできたひと時
だったように思います。また、いい家づくりができたとも、
ちょっぴり自負しています。
「いい家づくり」は、ものでもなく予算でもなく、信頼関係
がすべてではないかと改めて感じました。
仕事には、可能な限り楽しんで取り組もうと、常に自分に
言い聞かせています。今回、自分のやる気以上に、お客
さんからの期待いただくお声が一番のやりがいとなりました。
おそらく、私が今回取り組めた仕事の環境はぜいたくなこと、
とても恵まれたケースでしょう。お施主さんにいただいた
「ありがとう」の言葉は、私の方こそお伝えする気持ちと、
今になって感じます。