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国産材コラム

無線塔に申し訳ない

その日ぐらし

今年のお正月は久しぶりに長崎に帰省し、佐世保の西海橋へ行ってきました。橋が近づくと、針生の無線塔が見えてきます。

 

思い返すこと10年程前、飲み仲間とリフォームデザインコンペに応募しようという話になりました。構想のみでも構わないというものだったので、長崎には真珠湾攻撃の暗号電文「ニイタカヤマノボレ1208」が発信されたと言われる3本の無線塔があり、それを現在、過去、未来の発信塔にしたらどうかと提案し、現地調査まで行いました。しかしながら具体案が詰め切れず、グダグダのまま提出。当然入選にかすりもしませんでしたが、暇だったので表彰式を見に東京まで行きました。名だたる設計事務所の実例や模型が立ち並ぶ中、隅っこに我々のしょぼいプレゼンが。まさか貼られているとは知らず、剥がして逃げようかと思いました。

 

総評を語る建築家の「今回応募の中に煙突をリフォームしようとした面白い人がいました」という言葉。無線塔であることすら伝わっていませんでした。おかげで今でも、無線塔を見るたびに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

(2023年木族2月号より)

 

 

 

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