もう30年前になりますが、快適になる住まいづくりを心掛けるきっかけになったのが、結婚をして家事や生活をするのが嫌になる(?)ハイツに住んだ経験からです。
それまで私は実家暮らしで、母が専業主婦だったこともあり、恥ずかしながら家事を全くしていなかったので、初めてのことばかりで大変でした。
毎日家事と仕事に追われましたが、やっと一通りのことに慣れてくると、家の間取りと方位のことが気になってきました。
陽射しのことが全く考えられていないハイツで、朝早くから洗濯物を干してもお昼には陰ってしまい、特に冬場は洗濯物が全く乾きません。
西日が強く入るダイニングキッチンは、夏は暑くて首にタオルを巻きながらの夕食作りでヘトヘトになり、窓のない暗いリビングのほうが涼しいので、外が明るい時間帯にもかかわらず照明をつけて食事をしました。
本当に欲しいところに陽射しが入らないだけで、こんなに家事や生活がしにくいかと痛感しました。
改装や新築(建て替え)のご相談をいただきお住まいを拝見させていただくと、デザインを優先したのか、陽の入り方や風の通りが悪かったり、家事をしたことのない方が設計したのか、家事動線の悪い間取りだったりします。
なので過去の経験から、日本の風土に合った国産材を適材適所に使い、家事動線の良い間取りで、風通しや日当たりが良く、永く心地よく住める家を施主様と一緒につくっていく様心掛けています。施主様から「心地良く過ごしています」とお引越し後に言っていただくのが私が設計という仕事をするやりがいであり喜びです。
もし、陽当り、風通し、間取りでお悩みなら、お気軽にご相談下さい。ひょっとしてその住みづらい場所を、365日快適な空間にしましょう。
(「木族」2021年12月号より)