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「その日ぐらし」コラムの記事一覧

高熱に苦しんだ年明け

その日ぐらし

インフルエンザが流行り出した頃、正月は実家に帰省するために感染対策を徹底していました。何とか無事に仕事納めまで乗り切ったのに、気が緩んだところに主人が勤め先でもらってきたのに感染し、結局実家には帰れず高熱に苦しみながらの年明けになりました。

 

前回記事に書きました母へのインコのプレゼントも買えず、むしろ買っていたら今頃愛着が湧いて母に渡すことを拒んでいたところです。主人にうつしたであろう誰かも分からないその人に、勝手に怒りの矛先を向けながら布団の中で正月を過ごしました。

 

今思えばあの爆発的な感染状況の中、誰にうつしたうつされたなんて分かりもしない話です。人は余裕が無くなった時、本性が出ると言います。そんな時こそ「私一人の感染で良かった。誰にもうつさない休み中で良かった。特に今頃タイでカウントダウンパーティーを楽しんでいる中津さんにうつさなくて本当に良かった。」と、言える人間になりたいと思いましが、書きながら無理だと感じました。

 

(建築士事務所民家・設計部=矢野祐子)

~2025年木族2月号より~

動画のインコに癒される

その日ぐらし

毎年正月は長崎の実家に帰省するのですが、元旦が誕生日の母のためにプレゼントを持っていきます。

前もって欲しいものを聞くのですが、こちらの懐を気にしすぎてか、万歩計とか登山帽の紐とか安価なものを言われ、追加のプレゼントを何にするかで毎度頭を悩ませています。

 

しかしここ数年、帰る度に「インコ飼いたいわ~」とさりげなく言うのです。「飼ったらええやん」と言うと、「だってお父さんダメって言うし・・・」。どうやら私が父を説得し、さらにプレゼントして欲しそうなのです。

 

頑固な父を説得するのが面倒なので端的に「来年インコ連れて来るわ」と言ってみたところ「あ、そう」と、あっさり承認。母がすかさず「それなら犬が良い」と言うと「犬はダメだ」の即答。そんなわけで、次の誕生日はインコをプレゼントすることに。

 

とは言えインコの種類も様々でセキセイ、オカメ、コザクラなどがあります。せっかくだからおしゃべりな子がいいなとYouTubeで動画を見ては、すっかり癒され本来の目的を見失う毎日です。

 

(建築士事務所民家・設計部=矢野祐子)

~2024年木族12月号より~

失敗はつきものですが

その日ぐらし

先日 、建築士の資格学校で同じクラスだった知り合いから同窓会のお誘いを受け、物珍しさに参加しました。当時はひたすら課題に追われ殺伐としていたので正直あまりいい思い出はありません。10年ぶりに集まった顔ぶれは、すっかり誰だか忘れてしまい、当時の先生だけは良く覚えられていて「君はこんなだったね」と、一人一人に語りかけてくださいました。資格学校のたかが数か月の付き合い。未だ現役講師なのに凄い記憶力だと思います。

 

大手ゼネコンの設計さん達は公共建築がどう、コンペがどうとかの話に盛り上がり、肩書も知らずそんな人たちと机を並べていたとは、という気持ちになりました。

 

また建築関係者が集まると往々にして過去のやらかし自慢が始まります。一番は現場監督が地盤の掘削中に湧水を汲み上げすぎて隣のビルが傾いたというもの。そんな時、不思議と東北地方に逃げがちです。私の過去一番は品番を間違って伝えて、リビングの天井に和柄のクロスを貼ったこと。ビルを傾けたのに比べたら可愛いものだと思います。

 

(建築士事務所民家・設計部=矢野祐子)

~2024年木族10月号より~

売れなくとも作り続ける?

その日ぐらし

先日カクダイという水栓メーカーの方が営業に来られました。もし機会がありましたらカクダイのWEBカタログ見てみてください。最初こそ普通ですが、330ページ辺りからバナナや消火器、寿司におでんと、不思議水栓のオンパレード。まっとうな商品が廃番になる中、それらは廃番になるどころか更に進化しているから驚きです。

 

「この寿司水栓って売れてるんですか」と営業さんに聞くと、「自分が担当しているエリアで出たことはありません」とのこと。ではなぜ作り続けるのか。それは社長の発案で、面白い商品を作ることでメディアやSNSで話題になり、企業の宣伝になっているのだとか。私もこれを書いている時点で策にハマった1人です。

 

そんな社長の人となりを見てみると、裕福な家庭に生まれるも幼少期にイジメに合い、身を守るため自虐キャラを確立。今ではそれが経営理念となり、社長をはじめ弱キャラ集団であるカクダイは、個性を活かし、競争を避け、独自の道を歩んでいるのだそうです。有名アーティストのレコードジャケットをパロディ化している表紙はカタログが出るたび話題となり、今作はピンクフロイドを見事にパロっています。カタログを見る度、企画を考える人は楽しそうだなと勝手に想像しています。

 

(建築士事務所民家・設計部=矢野祐子)

~2024年木族6月号より~

端材でバット…心は折れない

その日ぐらし

地元の方々に使っていただくために協会の事務所1階に設置した端材コーナーは、多くの方に利用されており、昨年からは大人の方には地域の保育園に木材をお送りするための募金をお願いしています。そんな折、コーナーの前で悩んでいる少年が。

 

彼はこちらに気づくと。被っていたキャップを取り深々と頭を下げ、「僕は野球部所属の中学2年なんですが、有料でしょうか、無料でしょうか」と。中学生という微妙な年齢で、募金がいるのか悩んでいた模様。そもそも強制でもないのに、なんて真面目な少年だろうと思いつつ「無料ですよ」とお答えすると、安心した様子で材料選びが始まりました。

 

聞けば世界に一本だけのオリジナルバットを作りたいのだとか。握り加減や完成イメージを確認しつつ角材1本を選定。「どうやって作るの?」と聞くと「紙やすりで」「そっか、出来上がったら見せてね」「はい、必ず」

 

今ごろは角が少し丸くなった工程でしょうか。グリップ部分に差し掛かる頃には心が折れそうになるかも知れません。ただ、地道な作業が実を結び、ついに出来上がったバットが初打ちでぽっきり折れようとも、彼の心は折れなかった証となることでしょう。

 

(建築士事務所民家・設計部=矢野祐子)

~2024年木族4月号より~

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