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「その日ぐらし」コラムの記事一覧

ピッカピカ以外に

その日ぐらし

我が家の浴室のシャワーの水栓が水漏れするのをきっかけにキッチン、洗面、浴室の水栓を一気に取り換えることにしました。

 

キッチンの水栓はレバーを操作するたびカウンターがびしゃびしゃになるのでタッチレス水栓に。浴室の水栓は細かい気泡がでるシャワーヘッドに。と、ここまで順調に決めたのですが、問題は洗面の水栓でした。

 

うちの水栓はボウルから生えているのですが、スポンジでこすり過ぎて傷だらけになっています。そのトラウマでピッカピカの水栓が苦手で、屋外水栓のようなステンレス仕上げみたいなものがないかと各メーカーを調べ上げ、ショールームも回りました。それでもなかなか見つからずやっと見つけたと思いきや、受注台数50台からとか納期が1年以上とかで、諦めかけた時にH社が1台から受注生産でブラスト処理をしてくれることが判明。それでも半年かかるのですが、1年と比べたらまだ待てます。

 

すでにキッチンと浴室の水栓は届いており、半年後に洗面水栓が届いてやっと工事です。各メーカーさん、ピッカピカ以外の水栓作ってくれませんかね・・・

 

(2023年木族4月号より)

無線塔に申し訳ない

その日ぐらし

今年のお正月は久しぶりに長崎に帰省し、佐世保の西海橋へ行ってきました。橋が近づくと、針生の無線塔が見えてきます。

 

思い返すこと10年程前、飲み仲間とリフォームデザインコンペに応募しようという話になりました。構想のみでも構わないというものだったので、長崎には真珠湾攻撃の暗号電文「ニイタカヤマノボレ1208」が発信されたと言われる3本の無線塔があり、それを現在、過去、未来の発信塔にしたらどうかと提案し、現地調査まで行いました。しかしながら具体案が詰め切れず、グダグダのまま提出。当然入選にかすりもしませんでしたが、暇だったので表彰式を見に東京まで行きました。名だたる設計事務所の実例や模型が立ち並ぶ中、隅っこに我々のしょぼいプレゼンが。まさか貼られているとは知らず、剥がして逃げようかと思いました。

 

総評を語る建築家の「今回応募の中に煙突をリフォームしようとした面白い人がいました」という言葉。無線塔であることすら伝わっていませんでした。おかげで今でも、無線塔を見るたびに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

(2023年木族2月号より)

 

 

 

「パース」じゃない?

その日ぐらし

プレゼン資料でパースを描く時、いつも思い出す人がいます。それは20代の頃に勤めていた工務店の社長。パースがまともに描けない私が常々社長に言われたのが

「このへったくそ!!」

でした。私はこの関東弁で、怒ると見た目が鬼瓦になる社長がとても苦手でした。

 

描くたび「このへったくそが!俺が手本を描いてやるから見てやがれ!」の繰り返し。

 

ある日描いたパースの隅に「○○様邸イメージパース」と記載したのを酷く怒られ「てめぇのはただのラフスケッチだ!俺の許可無くパースなんて名乗るんじゃねぇ!」と、書き換えさせられました。

 

その後許可をもらえぬまま社長は亡くなりました。今も描いたものには「○○様邸イメージスケッチ」と記載しています。

CGが主流の昨今、代表は「手書きは温かみがあって好きやで」と言ってくれます。先日私の描いたスケッチを見て、お施主さんが喜んでくださいました。とても嬉しかったです。

 

鬼瓦社長、私はまだパースに昇格出来ませんでしょうか、そんな事思いながら今もスケッチ描いています。

 

(2022年木族12月号より)

回転しながら夢見る

その日ぐらし

前回ご紹介しましたRXPO’70三菱未来館のパンフレット「50年後のあなた」につきまして、今回は「住宅」の分野です。以下抜粋です。

 

「未来の住宅は一生のうちで唯一の財産という所有物的な考えはなくなる。交通便利な筒形の住宅に住み、内部は無駄なく機能的に整備されている。住宅の支柱は、一日ゆっくりと回転しているので、どの部屋も日当たりや風通しが悪いということはなく、同じような生活環境が与えられる。人間は、仕事が終わってから、本来の住宅的イメージを求めて、郊外の別荘などに移って行く」。

 

以上です。前回の「オフィス」を重ね合わせますと、我々の一日は、回転しながら起床し、ラッシュ知らずの伸縮自在型高速通勤列車で通勤。電子ビジネス装置のボタンを押しての4時間勤務。仕事が終わったら本来の住宅を求めて郊外へと赴く・・・。もう回転式筒形住宅いらんやんと思わなくもないです。

 

でも良かったです。国産材住宅推進協会の活路は残されていました。ただし郊外に限りますが。

 

(2022年木族10月号より)

未だに夢は夢のまま

その日ぐらし

自他共に認める昭和オタクの私ですが、EXPO’70の三菱未来館のパンフレットの内容が面白いのでご紹介したいと思います。

 

「50年後のあなた」と題して分野ごとに50年後を紹介しているのですが、特に面白かった「オフィス」についてそのまま抜粋。

 

「会社内の業務は完全にオートメーション化され、ボタン一つですべてが操作できるようになる。会社は、24時間業務を続けるが、人間の働く時間は1日4時間に短縮される。肉体労働がまったく姿を消し、人間は電子ビジネス装置でいつもメカニズムと技術と革新に囲まれる。通勤も伸縮自在の高速通勤列車出現によって、通勤ラッシュは解消される」。

 

以上です。素敵ですね、1日4時間勤務。怖いですね、伸縮自在の高速通勤列車。残念ながら「まったく」と言い切っている肉体労働は未だ存在しています。

 

「50年前のあなた」に言いたいです。「夢みすぎ!!」と。

 

次回は「住宅」に関する「50年後のあなた」をお伝えしたいと思います。

 

(2022年木族8月号より)

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