梅雨入りのこの頃、紫陽花が咲く場所によって花の色も違い、その美しさをご近所さんのお庭で楽しんでいます。我が家の猫額の庭にも来年咲くように植えようかと思案し、どんな色になるか考えるだけでもワクワクします。
20年程前に一緒に仕事をしていた元上司から久しぶりに連絡がありました。現在も当時と違うハウスメーカーで、日本各地を忙しく飛び周り活躍されているとのこと。私は今も国産材を使った住まいの設計をしていると話すと「そうや、健康住宅の設計してたんやなぁ。」と思い出すように言われたのですが、この「健康住宅」という言葉がひっかかりました。そう言えば自然素材を使った住宅が出始めた頃、そう呼ばれたこともありましたが一時期のことだったので記憶にもなく、不意をつかれたかのようでした。この違和感はなんだろうか?電話を切った後、ゆっくり考えました。
心身共に「健康」である住まいづくりは当たり前すぎて、わざわざ打ち出す必要もないことと「健康」以外にも大切な要素があることを理解してもらっていないように感じ、釈然としなかったのです。
国産材を使う意味や、なぜ国産材が使われなくなったか、森のこと、そして森だけでなく環境の循環・海との繋がりがあることや、杉材の調湿性や足触りの良さ、やさしさ等、伝えたいことはたくさんあり「健康住宅」という言葉だけで片づけてほしくなかったのかもしれません。
お施主様だけでなく建築にたずさわる人達にも、もっと国産材のことを広く知っていただきたく、住まいに国産材を使うことが当たり前になる時代になることを切に願っています。
(「木族」2018年6月号より)