真夏の夜には、窓を開けて寝たいと思っている方も多いのではないでしょうか?
でも、窓を開けても風は全然入ってこない。
仕方なく窓を全部閉めて、エアコンをつけてタイマーをセットして寝る。でもタイマーが切れて暑くなって目が覚めて、寝ぼけながらまたエアコンを点けて…朝起きるとなんだか体がだるい。そう感じている方もおられるのではないでしょうか。
やはり夏は本来、誰もがエアコンを点けずに、窓を開けて風を感じながら寝たいと思うはずです。
では、どうしたら部屋の中に風を通すことができるのでしょうか。
風はどこから吹いてくるものなのでしょうか。
実は、風は常にランダムに吹くわけではなく、季節によって風向きが大体決まっています。同時に、朝昼晩でも風向きは変わるものです。ですので、風を通したい季節や時間の風向きに合わせて窓を設け、風が抜けるように、風下側にも窓を設けてあげると風は通るのです。
さて、今回のお施主さんは「冷房が苦手なので風通しが良く、夜も1階寝室で窓を開けて寝られるようにしたい」がご要望の一つでした。このご希望を満たすために、泉大津市地域の夏の夜の風向きを調べることにしました。
昔から近辺に住む奥様のお父さんから「ここは近くに海があり、気持ちのいい浜風がよく通る地域」とお聞きし、また気象庁のホームページで6~9月の夏の夜、よく南西から風が吹くことも調べることができました。この2つのデータから南西の方角に窓を設ければ、夏の夜に浜風は入ってくると想定、夏の夜に風を通したい寝室を、南西に窓を設けることのできる位置に配置しました。
今回の例のように、間取りの段階で風向きを考慮し、それに合わせて部屋を配置させることで家の中に風を取り込むことができます。
もちろん、風のない日もありますし、雨の日などは風を通すことができない時もありますので、エアコンを利用する日もありますが、以前住まわれていたお家よりは確実にエアコンを利用する日が少なくなり、当然、健康にもいいし、光熱費も安くなります。
真夏の夜だけでなく昼の風も期待して、LDKにも風を通す工夫をしています。(長くなるのでここでは割愛しますが…)また、自然利用は風だけでなく光についても季節ごとに考慮して空間づくりを行いました。
このように風や光などの自然のものは、設計の工夫次第で、天敵から味方に変えることができます。
お施主さんのご好意により、この住まいの完成見学会を12月6日(土)に開催できることになりました。杉の床の足触り、土壁、珪藻土の質感など、実際に使われている素材を肌で感じることができますので、これから始まる家づくりにとって必ずお役に立てると思います。
また、お施主さんにも見学会にご参加いただけることになりました。実際に家づくりをされた方にお話を聞くことによって、これからの家づくりの参考にもなりますし、不安に思われている点も少しは払拭できるのではないかと思います。お気軽にご参加ください。
(「木族」2014年12月号より)