私がインテリアに興味を持つきっかけになったのは、1軒の家具屋さんでした。当時アトピーに悩まされ東京の病院に通っていたのですが、その道すがら立ち寄ったお店で、アメリカの巨匠デザイナー、チャールズ&イームズの椅子に出会い、その世界にどハマリしたのです。
ヴィンテージ家具のショップが立ち並ぶ目黒通りを何往復もし、ネット検索でショップを見つけては立ち寄り、気が付けば家の中はアメリカンな家具だらけに。
シャギーカーペットを敷いて大きなモンステラを置いてピンクパンサーのポスターを飾り、薄暗い照明の中でイームズに腰かけては安いコーポで悦に浸っておりました。思い返せば黒歴史です。
今まで数々の運命的な椅子に出会い、手放してきました。頻繁にある運命など運命ではないとやっと悟った気でいますが、昭和レトロ家電においては、未だすぐに運命を感じる次第です。
(建築士事務所民家・設計部=矢野祐子)
~2024年木族8月号より~