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国産材コラム

地域活性に何ができるか…

暮らし下手

先日、職場近くの行きつけの定食屋さんから「ラジオの収録をするから今度遊びにおいで」と誘われました。日曜日のお昼、半分だけシャッターを開けたお店の入り口を潜(くぐ)ると、数名のギャラリ―と本格的な収録機材に囲まれたマスターの姿があり、楽しそうにラジオ収録をしている。

 

聞けば、地元密着のネットラジオで、地域で知り合ったゲストを招いて対談形式で飲みながら収録を楽しんでいるそう。

 

当日のゲストで招かれていた19歳と20歳の2人は、今年から駅前でサウナ店をオープンするらしく「そんなに大きな駅でもないし、どうしてここなの?」と聞くと、「地元だし、雰囲気が好きだから」と話した。根底には地域活性や街おこしへの想いも垣間見えつつ、力まずサラッとそんな言葉が出てくるのだから、聞いている方も心地いい。

 

工務店という仕事も地域に活かされて存続するもので、最近の活動で言えば木工教室を地域の幼稚園と共に開催している。聞けばその幼稚園の園長先生は定食屋さんのマスターと同級生で、リスナーで参加していた方は、私の職場のすぐ隣に住んでいて、と話は一気に盛り上がり、近日地域のごみ拾いを一緒に行うことになった。

 

国道沿いにチェーン店ばかりが並ぶ、特に特色のある地域でもないと感じていた町の水面下で、地元愛が育っていたことにも驚いたし、ネットラジオを中心にコミュニティーが出来ていたことにも感心した。

 

自分自身に目を向けると、じゃあ今、あなたは建築を通してこの街に何ができますか?と、建築学生だった頃にあった街づくりの課題(問い)を改めて聞かれているようで楽しい。できれば力まずサラッとした答えを出し続けられればと思う。

 

(建築士事務所民家・設計部=中津真)

~2024年木族4月号より~

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