この夏、夫の故郷佐賀県で義母の初盆の法要がありました。その時に参加した甥っ子から「この図面を見てくれる?」と3枚のA3の図面を渡されました。
1歳の娘がいる30歳前半の甥っ子家族は、独身時代から義母が長男の家に移り住み空き家になった夫の実家(築50年位)に住んでいます。初盆以降に建て替えをするため最近仮住まいに移ったところで、夫の実家は解体するとのこと。その新築の図面でした。
正直なところ、この段階でのアドバイスは「もう決まっている図面に茶々を入れる親戚の建築士」でしかなく、夫からも「大きな変更を言ったら迷惑になるから気を付けてよ」と助言も入り、困ってしまいました。
渡された図面を見てみると、最近当たり前になってきた高断熱高気密なのは良いのですが、室内は調湿性の無い素材、軒の出や窓の位置と大きさは、陽射しを考慮していない計画で「いいプランやん!」とも言えず、今更プラン変更はできないので、ん~と言葉を選んでいて私が黙ると、甥っ子も不安がり、とても嫌な時間でした。
まずここ(業者)を選んだ理由を聞くと、高校の同級生が中堅の地元ハウスメーカーの営業マンで、彼を信用してお願いしたとのこと。設計者とも夢いっぱいに話し合っている様子を聞くと、住まいづくりを楽しんでいるようで良かったと安堵もするが、何でこうしたの?と甥っ子に一つ一つ質問していくと、
「え~っと、何でやろう?確認してみるわ。知らんことばっかりやわ。勉強不足です!」
とうなだれた。
水を差す気はなく、もっと早い段階で相談してくれればと思いつつ、プランを変えず対処する方法の選択肢を伝えるアドバイスに。
一番驚いたのは、リビング横の畳コーナーに仏壇を置く場所を作っていること。
「新築完成したら、最初にお仏壇をうちに移動して僕がみるね」と、若いのに生前過ごした場所がいいだろうと配慮してくれた甥っ子の気持ちに感動。よい孫に実家を継いでもらって幸せですねとお仏壇に手を合わせました。
(2022年木族10月号より)