一旦落ち着くかに思えたコロナ。それもつかの間、オミクロン株で又振り出しに戻されたようだ。
皆様には新しい年をいかがお過ごしですか。年明けより忙しい日を送らせて頂いているが、昨年に引き続き、給湯器など住宅設備機器や建材の入荷が遅れ、完成引渡し後も給湯器の取り付けが出来ず、多大なご迷惑をかけている。合板などの新建材にも品薄が続いているようだ。構造材に関してはゆすはら森林組合さんの采配で心配はなさそうだが、節ありの杉建材は発注から3ケ月待ちになり、早めの発注が必要という。
年末にマンションの床板をヒノキに張り替えるご依頼を受けた。既存床に床暖房が敷設されている為、釘を使わないで施工することになった。
曲がりやスキが出ることも懸念され、しっかり締め固め施工を行ったところ、完成直後にヒノキ板が数か所起き上がった状態になり、今度はやや緩めに張り替え、何とか落ち着いていると聞く。若干室内の湿度が高かったこともあるが、釘を打たない場合、板は好き勝手に暴れる。板材を作り置きできない理由がそこにある。
自然素材は至ってデリケート、環境に左右されやすい、言い換えれば自然に順応しやすい性質をもっている。ベテランの大工さんが扱いなれた材をもってしても環境まで読み込んでの力加減は難しい。
地産地消の考えから建築場所に近い地域材を使う方が理に適うという。
確かに木だけを見ればそうかもしれないが、建築の視点に立てばあながちそうとは言い切れない。国産材のくせを熟知し、且つ製材に関しては、1本1本拾い出し価格表示をしているが、単価の裏付けを求められ困惑した。
お施主さんからすれば、全てに定価があり、何パーセントで入るという考えが定着していたようだ。木材価格に定価はなく生ものと同じで、採れ高や需要と供給の関係によっても価格変化は生じる。質問に面食らったが、改めて説明の必要性を痛感させられた。
自戒を込め。国産材の認知度、未(いま)だ低し。
(「木族」2022年2月号より)