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国産材コラム

国産材のPR店として

朴訥の論

 協会を立ち上げてより今年で25年になる。年末、ある木材協同組合さんから冊子が届いた。
 「スギノアカネトラカミキリによる被害材が見た目が良くないというだけで、低価格の売りづらい市場で流通しています。4年前から大学の協力で科学的に検証した結果、耐久性、強度ともに問題がないことがわかりました。そこで、環境に貢献するエコブランドとして関係者に知っていただこうとご案内しました」と、被害材の強度試験や暴露試験を通しての色の変化などを添え「あかねブランド」として紹介されていた。
 スギノアカネトラカミキリは杉やヒノキの枯れ枝に産卵し、孵化した幼虫が樹幹内に入り3~20センチ食い進み、再び枯れ枝に戻り成虫となり出て行く。木材となる頃には既に存在しない。
 虫食い、飛び腐れとして地域を問わず苦慮している問題でもある。50年手塩にかけて育てた木が体長2センチ程の虫にやられ、流通にものらないとなれば泣くに泣けない。
 見た目に些少問題があっても強度に関係がないのであれば、柱が壁の中に隠れる大壁仕様の家が多い現在、何ら問題なく使える。それも生活者の深い理解があってのことだ。
 年末に中国産のタケノコを国産と偽り、従業員を竹林農家にしたて販売したとして報道されていたが、商道徳もここ迄落ちたかと嘆かわしい限りだ。そんな誤魔化しが横行する中で「あかねブランド」の姿勢は清々しい。地域材の誤解を招く恐れもあり、ブランドとして公表するには勇気もいるが、何であれ真実に勝る説得は無く、人の心は必ず動くと信じたい。

 年末、新しい事務所に引っ越し、16年間溜めた生活の垢も一緒に捨ててきた。
 国産材はまだまだ街の人にとって身近な存在とは言い難く、生活に根差すには常に手の届く場所に存在することが望ましい。そこで、兼ねてからの念願であった国産材のPR店として生活者に杉やヒノキを提供できればと考えている。
 いままでお世話になった地域の板材などを展示し、それぞれの特徴や価格提示をすると共に、間伐の重要性やあかねブランドや風倒木などの活用も含め、訪ねて来られる方に説明したい。
 日本のモノ余りも限界に達し、どうやら今年も内需に期待の持てない年になると言われているが、24年間それなりに培ってきた国産材への想いと知識を今こそ活かせる時と捉え、華々しくはできそうにないが、協会なりのやり方で泥臭くやっていきたい。

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