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国産材コラム

辛抱無くて就ける仕事なし

朴訥の論

隣家に若い夫婦が住む。聞けば派遣社員をしているというが、まだ幼い子供二人を抱え、人ごとながら安じずにいられない。人材派遣が生まれたのはいつの頃だろうか。
大手企業の利便性を考えてのものと思われるが、企業側にすれば一応、即戦力になるという謳いこみと、会社の内情にあわせコントロールが利き、リスクも少なく利用しやすいということだろうが、リース的感覚は否めず愛着が双方に育つとは思えない。

 3~40年程前迄は、終身雇用が大かたを占め、余程のことが無い限り転職を考える人は少なかった。今では「骨を埋める覚悟」なんて漫才のネタでしか通用しそうにない。
この不況で、にわかに派遣社員がクローズアップされているが、好きな時だけ好きな場所で働く生き方がフリーターとして一般に認知された頃から仕事への感覚がおかしくなったように思う。
今でこそ働きたくても職がないというが、人間関係が苦手で企業の枠に収まらず、自分の労働条件に合致する職場で働きたい人と、利便性を求める企業がいたから成り立ってきた雇用形態だ、と言えば言い過ぎだろうか。
先日、全国森林組合連合会が開いた「森林の仕事ガイダンス」を覗いた。各県ごとにブースが出され、林業従事を目指す人に就業までのアプローチを行う。

 近年、環境意識が高まり応募が増えたと聞くが、この時代背景もあってか若者の姿が目立つ。特に近圏のブースに人気があり順番を待つ姿が見られた。
平成7年に9万人いた林業就業者も高齢化に伴い、平成17年には5万人と落ち込み、65歳以上が4分の1を超える。このまま進めば担い手も減る一方で、益々山は疲弊する。その甲斐あってか平成11年以降、新規就業者が毎年2千人程度であったものが、平成15~18年の4年間で1万3千人と増加している。主催者に聞けば、定着率は60%だそうだ。
成人の日「何のために働くのか」の質問に殆どの若者が胸を張って「お金のため」と答える。何であれ辛抱無くしてお金のために取り敢えずやれる仕事など何処にもない。
一方、中高年に「目立たず、休まず、働かず」のパラサイト現象が見られるとメディアが取り上げていたが、あの労働意欲に燃えた国民性はどこに行ったのか。
仕事をすることの意味を今一度考えてみたい。

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