「ちっちゃな木材市」は、新聞で紹介されたこともあって、問い合わせが殺到し大きな反響を呼んだ。
建築現場の端材に過ぎなかったものが、棚板、木像、まな板、イスなど、出会う人によって様々に形を変え生き続ける、その橋渡しが出来たことが嬉しい。
事務所の入り口に置かれている勉強机は、地域振興を願い高知県の商工会の青年部が、木工製造協同組合と組み、3年前から取り組んできた作品である。
「田舎と思われゆう地域で、商売をしゆう商工会青年部で特産の加工品を販売しょうということになり、山に生えちゅう嶺北杉の加工品ならできる」と木部会を結成。既に地域の小学校に百セット納品し、生徒にも好評のようだ。
数日前、木部会のメンバーの訪問を受けた。
地域のデザイン学校に学ぶ学生を対象にコンペを開き、優秀な木工作品を製品化する動きもあるとか。若者にこそ地域材活性の一役を担ってほしい。
家づくりばかりが国産材ではない、日常的に当たり前の存在としてスギ、ヒノキのある生活が望ましい。
既成の家具で自然素材に似合う物は少なく、その為、新築時に造りつけ家具を望む方が多い。
今は、大工さんが造作家具を手掛けているが工期がかかり、コストにも影響する。木部会と取り組むことで地域に役立ち、少しでもリーズナブルに家具の提供ができれは、一石数鳥の価値が生まれる。
11年前に建築士事務所民家で建築されたお宅を訪問した。
三田市の新興住宅地にあり、15年程前は隆盛を極め、奥へ奥へと開発が進められた地域である。
当時は珍しく欧米型の町並みも形成され、見学する人が後をたたなかった程だ。だがこの地域も高齢化が進み、世代交代が始まりつつあるという。
唯一救われたのは訪問先のご夫妻が以前にも増してお元気で、趣味の陶芸や、家庭菜園に力を注がれ地域との交流を深めておられたことだ。
少子・高齢化に経済低迷の今こそ日本人の得意とするものづくり精神を見直し、育む時ではないだろうか。