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国産材コラム

山の仕事って…3

きの家、木の家、スギの家

基本的に、風が強く水脈(谷筋)から遠い山の峰は松・広葉樹が育つに任せ、その次に桧、そして水脈に近い部分に杉を植えると聞いたことがある。腐葉土になりやすい広葉樹の葉が少しずつ山の斜面を下り、桧や杉の生育に寄与する形でもあるとか。
ただ、当然のことながら山には、南向きの斜面があれば北向きもある。東も西も。周囲の地勢も違う。岩山かそうでないか。肥えているか痩せているか。それこそさまざま。

 すべての条件を考慮して植える樹種が決まるのか。

 花粉症の面もあって、杉の植林に批判が集まっている。ただ、日本の気候は基本的に杉の生育に適している。

 桧は、杉に比べて乾いた所を好む。あまり水分が多いと病に侵されやすいとか。

 第二次大戦後の拡大造林、当然のことながら復興に役立つ樹種=杉・桧が選ばれた。中でも育ちやすい、風土に合った杉が多量に植えられたのは確か。これは国の方針・推奨でもあった。最近では、一部、休耕田に杉を植えた事例もある(ここには桧は植えられない=富栄養)。

 桧が杉よりも高く売れるのは分かっていたのだから、誰もがもっと桧を植えればいいのに、とも思うが、杉が桧よりも安価なのは、その質よりも、日本の国土での育ちやすさ、そして植えられた量にもよるのではないか。桧が杉よりも育ちやすかったら、少しは価格面も違っていただろう。

 気候・風土に合っているとすれば、昔から日本には桧よりも杉が多かっただろう。とすれば、人は桧よりも杉を、より多く生活に取り入れていたと思う。

 食器・履物・乗り物…生活の基盤に活躍していた、つまりは日本の文化を支えてきたのが杉ではないだろうか。  (つづく)

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