国産材の運動をして、あまり外国の木に興味を持たな
かったが、ナショナル・ジオグラフィックで、ある自然
保護活動家がセコイアを取り巻く様々な現実を伝えた
いために333日をかけて2900キロに渉り点在する山々
や州立公園を歩き、生態系を詳細に観察、人や野生
生物にも恩恵をもたらす新しい形の森林管理を模索し
ている記事が目に止まった。
世界一大きいと言われるセコイアは、アメリカ西海岸
だけに生育する。1848年メキシコの戦争で勝利した
米国はカリフォルニア州を獲得した。
そこで金鉱が見つかったことで東部から人が押し寄せ、
住宅建材にうってつけのセコイアに目をつけた。
1906年のサンフランシスコ地震とあいまって、乱伐に
拍車がかかる。
さらに第二次世界大戦後の住宅ブームにより、心無い
木材業者が入り乱伐が繰り返された。
皆伐(1区画の木を総て伐採)で出た木材を大型トラク
ターで引きずる為、表土は流失し、大量の土砂が川に
流れ、遡上する鮭も他の生物も姿を消した。
「森をズタズタにした」と表現するほど70年代まで皆伐
は続いた。ある地域ではかつて80万ヘクタールあった
原生林の内、伐採を免れたのは公園や保護区に残る
5%に過ぎない。今は再生し始めた95%の森をよりよ
く管理する方法を見つけることが課題だと話す。
森林の破壊で犠牲になったのは、鮭やふくろうばかり
ではない。セコイアの生産は70年代の半分に落ち込
み、林業で栄えた街に暮す人も又その犠牲者だと気
づく。
現在では、長期的に見て生産性の高い「単木択伐」
(選んだ木を1本づつ伐る)が採用され、10~15年で
立木の3分の1を収穫し、育ちの悪い木を選択する(
間伐と同じ)。
間伐することで太陽光が残った木に注がれ、生育を
早める。現在、日本の林業の多くが施工する間伐で
あり択伐だ。
アメリカは伐採しすぎて林業が成り立たなくなった。
片や日本は外材に依存し、国内の森林を使わずして
山の活力を奪っていった。真逆のことを成しながら
結果が同じというのも皮肉なものだ。
州立公園の森で択伐をしていた作業員が作業を終え
引き上げようとした時、いかにも森林保護派の長髪の
若者が来た。苦情を言われると身構えたとき「素晴ら
しい、陽射しが入ることは森にとっても良いことだ」
この意識が森を持続可能にする。
アメリカと日本、森から眺めれば何も変わらない。