数々の制約の中で
あけまして、おめでとうございます。
年末年始は何も考えず、おいしいものを食べたり飲んだり、
読書したり、映画みたりして過ごしました。常日頃、色々と
考えすぎるところがあるので、何も考えずにボーッと過ごす
のもいいもんです。
年始ということで改めて「いい家」について、心の赴くままに
考えてみようと思います。
私は、いっちょまえ(一人前)に美容院で髪を切っているの
ですが、いつも、あれこれ注文をつけることなくすべて美容院
さんに委ねるようにしています。
というのも、美容師さんはその道のプロで私があれこれいう
よりも、美容師さんに思う存分好きなように楽しんで技術を
ふるってもらうのがベストだと思うからです。もちろん、こんな
私にでも似合うものを真剣に考えてくれるかどうかが前提ですが…。
素人の私が注文をつけて、美容師さんが「違う」と思いながら
カットするという状態がいやなんです。また、視野の狭い自分の
固定観念を超えた、新たな世界を生んでくれるのではないかと
期待しているところもあります。
家も同じで、お客さんが望むものだけを取り入れて設計すると、
物足りない結果になることも多いのではないかと思うんです。
望みに答えるだけでは誰がやってもよく、極端にいえば、ロボット
の方が精密で忠実なのかもしれません。
「仕事」という枠を超えた「楽しむ」という感情が生まれると、
自ずといいものができるのではないでしょうか。そう考えると、
私としては(決して傲慢になるのではなく)「自分がいいと
思うことを提案する」しかないのかも知れません。
そこで問われるのは、「私が好む家」「私が住みたいと思う
家」ですが…
私は昔から数字が好きで、根っからの理系なこともあり、
合理的な性格だと思います。「理由付けできない行き当たり
ばったりで無駄なこと」はとにかく嫌いです。
昨年「小さな家で豊かに暮らす」というテーマで家づくりに
取り組んだのですが「小さな家」という表現よりも「無駄な
(使う頻度が低い)スペースを削ぎ落とし、濃度の高い家」
の方がわかりやすいかもしれません。
限られた敷地で、限られた予算という制約の中で、最大限
「密」な家づくり。そのうえ、高価な設備や素材に頼らない、
設計による工夫でしか得られない光や風といった「自然」を
うまく取り入れた「お得感」溢れた家が、私の思う「いい家」です。
立地や隣地の状況などがよいといった「偶然」なものだけ
ではなく、その土地の四季の風向き、日照を把握し、それを
基にした計画的な設計によって「必然」なものを見出したいものです。
今年も色んな出会いを心待ちにさせていただいています。
そしてお客様とともに、楽しく家づくりができればと思っています。
本年もどうぞよろしくお願いします。