少しのエネルギーで快適な生活を
「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる」
吉田兼好の徒然草の一文です。エアコン等のない時代、冬は衣服の調整や少しの暖をとる方法はあっても、夏の暑さを凌ぐには、家の造りからしかないということでしょう。
しかし、夏は風通しよくても、冬も外にいるような住まいでは困りものです。
現代では、夏の暑さを凌ぎたくても気温が高く、熱中症にならないようにエアコンを使用されている方も多いと思います。冬も寒さを我慢せずに暖かく過ごしたいですし、できれば部屋ごとの室温差がないほうがヒートショックによる身体への負担も少なくなり、内部壁の結露防止もできます。
夏冬共にエアコン等を使用しないのが理想ですが、少しのエネルギーで快適な生活ができることが大切です。
そのためには、陽射しの設計。夏は陽射しが入らないよう、冬は部屋の奥まで入るようにすること。窓の位置や庇や軒の深さが関わります。
それと、断熱性能と気密性を上げること。特に窓の断熱をすることが効果的です。気密を上げると聞くと息が詰まるようなイメージがあるかもしれませんが、計画的な換気をすれば大丈夫です。
夏は木陰のように、冬は陽だまりのような住まいづくりで、心地よく過ごして頂きたいです。
(「木族」2014年8月号より)