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国産材コラム

山の仕事って…2010,6,6

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北山丸太に戻って。

 

 北山丸太の造林といえば、眼に浮かぶ山容がある。かなりの急斜面に細めの立ち木が白い網を巻かれて立つ景観だ。

 これは、普通の杉丸太に人工的に絞(しぼ)という模様をつけるために、立ち木の表皮に「箸」と呼ばれる硬いプラスチックをあてて、網で絞るように巻きつけたもの。数年たって立ち木が太れば当てた「箸」の模様が丸太の表面に刻まれる。

 「人工的に」という限りは「天然」の絞丸太もある。これは北山杉が突然変異で表面にシワを持ったもので、これにも「中源」「三五」などの品種があるようだ。ここにあげた天然絞(しぼ)の品種は模様が外へ出ている「出絞」。逆に中へ入り組んだ「入り絞」もある。

後者の天然絞=入り絞=は「出絞」に比べ凹凸がやさしく、普通の住まいの床柱として人気があったが、柱として欠点の少ないものが育つには立地条件や環境に左右され、非常に少ないという。で、考案されたのが人工的に絞(しぼ)を造る方法。冒頭に書いた立ち木の景色となる。

 さて、床柱の長さは約3メートルあればいい。杉は普通12~15メートルには育つ。だから枝葉の多い(節だらけの)末部分を捨てても、立ち木1本から柱3本は採れる。しかし、北山人工絞丸太用の立ち木には34メートルの長さで1ヶ所しか網は巻かれていない。なぜか。

 住宅建築が住宅産業となり、いわゆる「建て売り」住宅が蔓延した。メーカーは、コストを切り下げようと、全ての建材を既製品化する。そう、床柱も。

で、和室に好まれた北山杉人工絞(しぼ)丸太は、「直径12センチ」に決められた。木は根元が太く、先が細い。よって直径12センチの部位は1本の木に1ヵ所しかない。つまり、良く知られた北山杉の山容は、住宅産業が作り出した風景なのだ。(つづく)

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