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国産材コラム

なりたくてなれない大工さん《山林》

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 今朝もある中堅ハウスメーカーから床板とヒノキ無垢の階段材の

問い合わせがあった。材料発注と併せて、施工する自信がないので

階段と床板の施工をしてくれないだろうかという。

木造住宅は1棟の全てを請け負った工務店なり、大工がその責任を負う。

お施主さんのたっての願いで無理な施工を受けたのであろうが、

階段といえば大工の技の見せ所でもあり、床板は構造材とも直接関係

する個所である。床鳴り一つをとっても原因が根太なのか床板なのかは

微妙であり責任の所在が明確でない。

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マンションの内装工事であれば理解できるが、その部分を他の会社に

任せることなどありえない。現在の家造りを反映しているようで

何ともやり切れない思いがした。

 国産材住宅推進協会のイベントで床板、壁板のはり方教室を

数回行ったが、決まって現職の大工さんが参加する。

接着剤と釘打ち機でことが足りるボード仕上げの住まい造りに、

カンナやノコギリなどの必要もなく、ましてムク材を扱うなど皆無である。

大工に国産材離れが起きて当然の条件がそろっている。

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偉そうなことをいいながら我々ですらあらゆる面を考慮すると、

プレカットに頼らざるをえない状況にあり、墨付けからきざみを経験

させるのは3年に1度くらいである。

協会の立ち上げから一貫して職人学校の必要性を提唱しているのも

ここに起因する。今や料理人の世界でも親方がたたき上げで仕事

を教えるケースは少ないと聞く。

調理師専門学校を出て就職することが多いとか。

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 人を育てるにはエネルギーがいる。資金的ゆとりもさることながら、

精神的ゆとりがなければ出来るものではない。

自分の息子であればいざ知らず、仕事が何時あるか予定も立たない

状況にあって、他人に仕事を教えることなど不可能である。

 

木材生産地などで大工を指導している所も数件あるが、

県産材を使う目的のみならず、真から木造の伝統的技術継承と、

次世代の子供達の将来「なりたい」選択肢を増やす意味においても、

国レベルで認知される職人学校の設立を望んでやまない。

 

この章はーおわりー

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