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国産材コラム

”狭い空間”こそ”贅沢”

住い考

あけまして、おめでとうございます。

新年はじまったと、思えばもう2月です。時間がたつのは早いものです。

 

もうずぐ竣工する新築のお住まいが2棟あります。どちらの家も25坪

から30坪といった、世間一般では「小さい家」になりますが「しかた

なくこの規模」ではなくて、私は小さな家だからこそむしろ豊かな暮ら

しができると考えています。

 

「豊かな暮らし」って、ただただ高価に見える素材や数値的な広いスペース

から生まれるものではないような気がするんです。それよりも「居心地の

良さ」こそ贅沢なものではないのかと思っています。

 

横(平面)や縦(立面)の無駄なスペースはそぎ落とし、必要最小限のスペース

にし、そのスペースにはこだわりのある自然素材を使い、風の流れや光を

最大限家全体に行き届かせ、どこにいても四季を感じ取れる居心地の良い

空間を目指す。

 

小さいゆえに起こりうる圧迫感は、庭や借景を通した視界の広がりや高低差、

明暗の演出を利用することで、ゆとりは生まれます。

掃除嫌いで物をあまり持ちたくない私の発想ですが、もしかしての予備

スペースや意味をなさないスペースは、贅沢なものではなく無駄で手間のかかる

ものになりかねないのでは?生活していて利用するスペースって結構限定されて

いて、25坪くらいが許容範囲だと思うのです(もちろん家族数にもよるでしょうが)。

 

 

今回どちらの住まいも室内の壁は左官壁で床には肌触りがよく、あった

かい杉、カウンターや家具、建具のちょっとしたところには桜などの広葉樹を

取り入れ、日増しに味わい深くなる素材を使っています。

庭や借景を取り入れ室内と繋げることで、リラックスできるゆとり空間に

なるようにしています。

 

温熱環境として、どちらも薪ストーブを入れる予定で、この1台で冬は完全に

まかなうことができます。夏は補助としてエアコンを設置するけれど、風が通り

抜けることができるので、快適なのではないでしょうか。

どちらの家も贅沢な感じはしますが、それは余りあるお金がもたらすのでは

なく、面積が小さいがためになせる技なんです。

 

家づくりって面白くて、高価であればいいものができるとは限らず、それよりも

「住む感性」のほうが大事だと思います。これは家づくりに限ったことではなく、

私の周りでも、生き方がオシャレだなとか、なにかとセンスあるなと思う人は

いますが、決してお金持ちではないです。感性が豊かなんだと思います。

 

ちょっと話がそれましたが、周りの景色・庭を眺めたい、風や光といった自然を

感じたい、四季を楽しみたい、経年変化する自然素材を使いたい…このあたりが

お客さんと共感し合えたんではないかと思います。

2階の住まいの見学会、お時間がございましたらご参加ください。
 
(「木族」2014年2月号より)

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