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国産材コラム

リフォームにこそ求めたい経験と技

朴訥の論

「わが家は早や11年、家に帰ったらいつもホッと安らげる家です」

「母は特養、息子は京都、家の中が広くなってしまいました」

「住むほどに愛着の湧く家です。父の家具を移したので随分感じが

変わりました」

年賀状に、家族変化を感じるものが多くなったが、それぞれに想い

出の残る住まいばかりだ。

 

 

中古住宅に対する国の指針は、耐震や省エネのリフォームやリノベ

ーションで質の向上を計り、流通の円滑化を目指すとしている。消費

税の関係でリフォーム・リノベーションの相談が多いが、自宅の断熱や

耐震に対しての状況を知る人は少なく、不安を抱えたまま生活してお

られるのが現実のようだ。

目に見える雨漏りや漏水には敏感に反応しても、未知なる危険に対

しては動きが鈍くなる。その雨漏りでさえ、過去に相談を受けて訪問

したお宅で、座敷にビニールシートが敷かれ大きなタライで雨受けを

している家が数件あった。かつては出入りの工務店がいたと思われる

が、地域の様変わりで相談できる人もいなくなったのだろう。せめて

ブルーシートで応急処置をする手立てがなかったものかと悔やまれた。

生活者にあまり理解されていないが、リフォーム対象は圧倒的に築

25年以上の木造在来住宅が多い。簡単な設備機器の入れ替えや、模

様替え程度であればどの工務店でも対応できるが、家の強度に関わる

リフォーム・リノベーションは新築以上に難しく、技術経験が求められ

る。

 

ところが現在、木造在来工法住宅を建てた経験のない大工や、階段

も掛けられない大工は数多く存在する。事実、内容が複雑になればリ

ノベーションを辞退する工務店も少なくない。まだ辞退してくれれば

いいが、見よう見真似でやられたのではたまらない。

 

中古住宅のチェックに伺った先で、梁が途中でバッサリ切断され強度

低下を招いた現場を何度か見ている。リフォーム会社といえば十把

一絡げで評されるが、技術レベルを明示する必要がありそうだ。

木造住宅の良さは経年変化を楽しむところにある。飛騨高山の古民

家群は老いてなお美しい。単なる展示物でなく、そこに暮らしがある

から命が宿る。

(高山市HPより)

 

日本の総世帯数5195万世帯(H22)に対し、700万棟の家余

り状態と聞く。中古住宅に新たな命を吹き込み、安心できるリフォー

ム・リノベーションを勝ち取るには、心ある建築士と大工の集積された

技が不可欠である。
 
(「木族」2014年2月号より)

 

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