10月から11月にかけて京都、兵庫、高知とそれぞれに特徴のある木材産地を廻りました。
京都は北山杉でも有名な京北エリアにある【京北プレカット】さん。規模も大きく、在来からCLT、特殊加工と優れた加工技術を持つ工場でした。課題はその規模と安定した供給を維持するための人材の確保。現在は対策として積極的に外国人の雇用を行い、日本人よりよっぽど真面目で学習が早いと評判だそう。材料加工の打合せで訪れましたが、精緻な加工設計技術と材種・産地の対応力には驚きました。
兵庫は宍粟市にある【しそうの森の木】さん。木材の流通過程の改革にはじまり、品質を第一に考えた乾燥技術(真空乾燥・天然乾燥)の導入、使い手のニーズを意識した特色ある木材製品を開発している。そこまでやるのかと言うほど考え抜かれた製品と品質の理由が、一貫して木を無駄なく大切に使い、材の真価を見出すことであるのが嬉しい。実は木族でも15年前に取材を行っており、変わらない改革意欲に感銘を受けました。
高知はお馴染みの【ゆすはら町森林組合】さん。高い環境意識と品質、顔の見える家づくりを森から進めており、山の管理から製材・加工までを一貫して行っています。12月棟上げの新築の柱の伐採式で訪れましたが、丁寧に森林組合のスタッフの方が森を案内して下さり、森林組合の建物の廊下には、今まで伐採式で訪れた方々の写真が飾られて、まさに顔の見える家づくりがそこにありました。環境意識や生産者と消費者を繋ぐ活動は、宿命のように地道な活動を長く続ける必要がありますが、実直にその活動を進めている産地の姿がいつも励みになります。
こうして産地を廻ると、それぞれに全く違った課題と取り組みがあるのが解ります。木も産地だけでなく、誰がどんな思いで生産しているのか、そこまで伝えなければなと、改めて感じる機会でした。
(建築士事務所民家・設計部=中津真)
~2024年木族12月号より~