セミナー・見学会

TOP > 国産材コラム > お施主さんの思い入れ

国産材コラム

お施主さんの思い入れ

暮らし下手

長年住み続けた家をリフォームしたり建て替えたりする事を躊躇する人もいれば、気にせず実行できる人もいます。ここ最近の案件に似たような事例が重なり、環境が変わる不安や思い入れといった気持ちの側面に対してどう設計で答えを出そうかと、とても悩みました。

 

新築への建替えの案件では、思い入れのあった家のガラスや梁を再利用し、慣れ親しんだ「感覚」を残すため玄関の位置や窓位置を同じにして、前の家と同じ動線や風景が残るようにしました。

 

2階が住宅、1階倉庫のリフォームの案件では、あえて1階の倉庫に全く新しい住居スペースを作り、今住んでいる2階から少しずつ新しい家に慣れながら住み替えて行く提案を行いました。

 

設計として、住みやすく機能的に作ることは当然ですが、機能や理屈ではないお施主さんの想いと価格(図面の線1本が見積り金額を大きく変えてしまう)に優先順位を整理して天秤にかけるのは、なかなか苦しい作業です。

 

その感覚も含めて理解しようと頑張るのですが、きっとこの人ならこうしたいだろうな、ここは費用がかかってもこっちを選ぶだろうな、と、まるでお施主さんの考えがそのまま解るようになるのは、残念ながらお引渡し直前となることが多いです。

 

あの時こんな提案もできたかもなぁと思い返せば切りがありませんが、あの時の私とお施主さんの精一杯の答えでもあったなと、またそれが思い入れに繋がれば幸せです。

 

(建築士事務所民家・設計部=中津真)

~2024年木族2月号より~

(C) 2017 NPO法人国産材住宅推進協会 All Rights Reserved.