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国産材コラム

自らの働き方改革

朴訥の論

企業研修で専門学校の学生さんが3名参加してくれた。テーマを「小屋づくり」とし、プラン提案から模型製作をし、プレゼンをしてもらった。「どう、楽しい」に「楽しいです」の即答が返る。真剣に作業する眼差しが言葉を表している。

 

ところが仕事になると経験を重ねる程にマンネリ化し、情熱も色褪せてくる。人とはいい加減な生き物で、自らを甘やかせば生きやすい方向に流れがちだ。マンネリは自分が作り出した惰性に過ぎない。

 

以前、新築のプラン提案を社内コンペで行ったことがあった。設計歴30年のベテランと入社2年目の建築士がプラン提案し、お施主さんの前で個々にプレゼンを行った。

 

結果、選択されたのは2年目のスタッフが出したプランだった。後日、お施主さんに選択した理由を訪ねたところ、ベテランと比較して力量に差があるのは分かったが、この仕事をやりたいという情熱を感じ、それを叶えさせてやろうと思ったそうだ。

 

プランは描いたものの土壁仕様、茶室に出書院となれば簡単に出来るものでもなく、ベテランスタッフが手伝い完成させた。

今思えば快く指導に応じてくれたOさん(プランを競ったベテラン)の度量に感謝しかない。人の心を動かすのは技術でもお金でもない、純粋に仕事にかける熱意ではないだろうか。

 

国が労働力不足解消の一つとして推し進める「働き方改革」は誰でもがそれぞれの事情に合わせて、自分に見合った働き方を選択できるための施策だそうだ。確かに労働力の低下がここまで進めば、そうせざるを得ない状態であることは理解できる。

 

ただ今一度、自らに問いかけて欲しい。仕事とは何か、何のために働くのか。まず自らが出来る働き方改革はないだろうか。

 

仕事に集中できているか、少しでも時間短縮出きることはないか、重複して行っている仕事はないか、横の連携は取れているか、報告は徹底しているだろうか。二手三手先読みした行動がとれているか。考えられることは十指に余る。

 

毎日定時に終わり、給料もボーナスも望み通り、何のリスクも負わない、そんな会社が存在するだろうか。複雑な社会情勢に加え人の心も読みにくい昨今、そんな時代の中にあっても仕事が与えられていることに感謝し、その仕事に情熱をもって取り組めることを喜びとしたい。

 

それ即ち働き方改革。

 

(2022年木族6月号より)

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