世界はまだ具体的に動こうとはしなかった。
「2020年に温室効果ガスの排出量を1990年比
25%削減」とした日本も、具体策はほとんど示されていない。
主に発展途上国の反発から2013年以降の枠組みは
先送りとなった。
常に意識したいのは「人は自分自身を最も大切に思うもの
だが、自分『だけ』が大事なのではない」ということ。国々の
思惑をよそに、環境悪化は粛々として進んでいく。
「たとえ明日、世界が滅ぶとしても、私は今日も木を植える」は、
かつてインタビューさせていただいたた女性の言葉。そう。
世界中をまとめるようなイニシアティブはとれなくてもかまわない。
着実に二酸化炭素削減を実行しよう。二酸化炭素を大幅に
減らしてなお、経済を安定させているという事実を認めさせるしか
ないのだ。何もしていないで、数値やカネだけで世界をリードする
ことはできまい。
地球は間違いなく温暖化している。石油はいつか固渇する。
一方で人は自然を利用するしか生きる道はない。進む方向は
明らかだ。また発光ダイオード、ハイブリッド車、バイオ燃料、
太陽光発電、もちろん「国産材の活用」と、アイテムはそろっている。
これを産業に結びつける強い意志が必要だ。
選挙のことだけを考える黒幕や経済団体におもねることはない。
首相には「何よりも環境」と本気で認識して欲しい。
(「木族」2010年1月号より)