TOP > 国産材コラム > それぞれにメリットとデメリットが
「人生は選択の連続である」シェイクスピアの名言です。住まいの竣工時にお施主様から必ず耳にするのが「1軒の家を建てるのに、こんなにたくさん決めないといけない事があるんですね」というご感想です。
ハウスメーカーのように決まった仕様があれば楽でしょうが、こだわりの家を建てるにはお施主様と一緒に決めていく項目はとても多く、それだけ考え抜いた家だからこそ、皆さん愛着と満足感もひとしお。一つ一つ決めていく過程で、全体のバランスを見ながら提案するのが設計者の仕事でしょう。
材料の選択で最も悩む「外壁」について前回の屋根に続いてご紹介します。
大きく分けて塗装の有無があります。塗装をする材料の方が当初は安くなりますが、性能を保つために塗り替えないといけません。立地条件でも大きく左右されますが、理想では15年ごとに、実状としては20年経った頃に大きく費用が掛かります。ただ、塗替えると新築のように清々しいものです。補修性もとても良く、外壁に関しては水性塗料が主流なので安心かと思います。
塗装をしない素材でよく使うのが、火山灰を使った『そとん壁』という左官材料と『ガルバニウム鋼板』です。30年位はメンテナンスがいらないと言われる素材ですが、どちらも傷がついた時は補修しにくく、できたとしてもそこだけ目立ちます。そとん壁自体はカビが生えませんが、壁に引っかかるホコリ等にカビが生えることもあります。メンテナンスをしないということは傷や自然と共に寂びれていく事を受け入れることが必要になります。
まずは選択肢があることを知り、メリットとデメリットも理解して選んでください。
(「木族」2019年2月号より)