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国産材コラム

住育検定って

朴訥の論

まだ冷え込みの続く日に、神戸市垂水区で棟上げを行った。

2年ほど前から協会が行うワークショップに参加され、塗り壁教室では小学生のお兄ちゃんが、何度もチャレンジする姿が印象に残った。

 

社宅の使用期限があり、ご家族5人の住まいを土地探しから始めたい、というご相談をいただいた。運よく抽選で土地を引き当てられ、資金計画もコンセプトもはっきりされており、子供達が同席するプラン打ち合わせもいたってスムーズに運ぶことができた。

 

棟上げの日には近くに住むおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に車から降りた2歳の男の子が、身動きもせずジーッと骨組みを見つめる姿に興味が湧いた。知り合った時はお腹の中に居たベビーである。お昼時に始まった上棟式は、総てコープ自然派の食材で夫人お手製のご馳走が並んだ。

 

5年生のお兄ちゃんはおみそ汁を大工さんに手渡す接待係を務め、今年小学生になるお姉ちゃんは配膳を手伝った。驚いたのは2歳の子が養生ベニヤに食べこぼした汚れを、自分で拭き取る、と譲らなかったこと。

3人3様に、新しい住いをわが家として受け入れ、期待と責任に満ちているように思えた。

お土産のお赤飯の一つ一つに、子供たちの手書きのメッセージが添えられていた。

「きょうは、ありがとうございます」〇〇

 

最近は地鎮祭も上棟式もしない工務店が多いが、上棟式は唯一ご家族がこれから暮らすわが家の原点を知る貴重な場でもある。大工さんや現場監督、設計者などそれぞれの働きに触れて、わが家の成り立ちが現実として心に落とし込める。

 

 

4月に住育検定が行われると新聞で知った。日本の伝統的な住文化、住宅の構造と法規、地球環境や家庭環境の4つの視点から住生活全体の知識を習得するものらしい。参加は誰でもいいとあるが、主眼はプロに置いた取組のようだ。なるほど最近はプロといえども住宅建築に疎い人も多く存在するらしいが・・・。

年々住宅も進化しているが、どれだけ頑丈な箱をつくったとしても真の住まいにはならない。住いは建ててからが始まりであり、長い年月を共にする家族の想いが繋がってこそ活かされる。

子供たちにこそ住育が必要だと、今、強く思う。

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