山口県ではフグをふく(福)という。スルメが飲み屋ではアタリ
(当たり)メと呼ばれる。
第2次世界大戦時、全滅を「玉砕」と呼び変えた。撤退は「後進」。
戦死は「散華」と。
戦争中にこのような言葉を思いついた人間は、多分、鼻が
高かったに違いない。しかし同時に、後ろめたさを感じて
いなければならない。人間として。
ちなみに「散華」とは、仏に供養するために華(花)を散布すること
らしい。仏や菩薩が来迎した際に、讃嘆するために大衆や天部の
神により華を降らしたという故事にちなむ。華の芳香によって
悪い鬼神などを退却させ、道場を清めて仏を迎えるためとか。
当時の軍部は、この言い伝えを利用して自分たちが奪った
命を「華」に例えて罪を逃れようとしたのだ。国民を「だます」ために。
特に腹立たしいのは、将官級の軍人が死亡した場合は、
それがどんな形でもこう呼ぶことがあったという事実。笑うしかない。
キリスト・イスラム・ユダヤもそうだが、宗教を利用する為政者を
信じることができない。理由は一つ。「一方的」なのだ。他の意見を
何一つ受け入れることはしない。「目には目を」と思えばそれしか
ない。
理性に沿って生きたいものだ。世界中が早く「気づく」ことを
希望する。地球は、世界は、人類は、何を本当に望んでいるのか、
何が本当に必要なのか。
(「木族」2010年2月号より)