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国産材コラム

「森林の市」に想う

朴訥の論

水都おおさか「森林の市」2008に参加した。
10年程前から参加しているが、回数を重ねるほどに方向性がわからなくて、参加をやめようかと迷ったこともあったが、今年は少し違っていた。
大川端を背景に、それぞれの生活に関わる森林を表現したストーリーがあった。行政、地域の商店街、林業・木材関連、環境団体、NPO、教育関連、音楽関係などを巻き込み、学び、癒し、遊び、祭り、川等と森林との関わりを多彩に表現していた。予算も年々厳しいようであるが関係者のやる気が見える森林の市であった。

さて、予てより建築士事務所民家が申請していたSGECの認証が下りた。森林の環境保全に配慮しながら木材を産出している森林に対して「認証」を与えることでその森からでる木材製品にSGECのマークをつけ、それを使うことでSGECの家として認証される。
また、認証材を使うことが世界の森林破壊の歯止めにもつながり、日本の豊な自然環境と木材が持続可能な森林資源として保たれることになる。認証は森林を対象にしたものと、認証林から産出した木材を販売・加工する事業体と二つに分類されており、民家の認証は後者に当たる。10月時点での認証林は66件あり、 72万7千ヘクタールになっている。よく勘違いされるが、認証材は一般の木材に比べ特別良いということではない。

適切な管理の下で、育成された木材が、価格的にも殆ど変わらない価格で使えるということ、どの山で採れた木材かがはっきりしていること、少しでも自然環境に貢献しているという満足感を得られること等がメリットとしてあげられる。
協会としてはSGECの認証材を使っていきたいと考えているが、一定の森林から出材される認証材はまだまだ全てに対応できるという量には至っていないようだ。

住いづくりを目指す生活者が全て、日本の森林を意識し選択したとき、山で働く人の意識も自ずと変化し、持続可能な森林育成に希望を見出すことができる。そのアプローチとして僅かな森林を保有する大阪の地で、地域に根ざして地道に開かれる「森林の市」の役割は大きい。

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