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国産材コラム

綾部から世界平和を~

朴訥の論

綾部市は、京都駅から山陰本線で1時間程西に位置する人口3万8千人の街である。縁あって特別市民になった。(一万円会費で可)
山間部での高齢化が進み、現在195集落の内、65歳以上の高齢者比率が50%を占める限界集落が38もある。その市が「世界平和」「ものづくり」「健康長寿」「笑顔あいさつ」と4つのスローガンを掲げ、果敢にチャレンジしている。

3期務める四方八州男市長は就任時より「市長との語らいの日」を設け、市民との膝を交えた意見交換を欠かさない。
その会議室に一対の和紙障子に14名の手形と顔写真が載った衝立が飾られている。
イスラエルとパレスチナの子供たちだと市長から説明を受けた。

綾部市は、昭和25年10月に日本で始めて世界連邦都市宣言を行った。人々が国境を越え、地球人として連帯し世界の恒久平和を目指そうというもので、その精神はこの街の「市是」として、今も引き継がれている。
半端でないのは単に平和を唱えるだけでなく、具体的な行動をもって示そうとしているところだ。

平成15年に中東和平プロジェクトを立ち上げ、戦争やテロで家族を失ったイスラエルとパレスチナの子供を綾部市に招き、初めて目にする異文化の地で、一週間のホームステイを通し、敵対する国の子供たちが対話することで、お互いの理解を深めることが平和への一歩に繋がることを願い企画されたものだ。

京都、東京と廻り、帰路に着いたテルアビブ空港で、早々と入国審査を終えたイスラエルの子供たちは、テロ対策で外国人に厳重な荷物チェックが行われるため、なかなか出てこられないパレスチナの友を待つ。時間は経つばかりで、出迎えの大人は「もう帰ろう」と促すが、子供たちは誰一人動こうとしない。3時間後にパレスチナの子供たちが出てくるまで、待つことが当たり前のように帰る子はいなかった。一番驚いたのは出迎えに来た大人たちではなかっただろうか。
この出来事が一冊の童話「平和の種」になり出版された。日本語と英語で書かれた絵本は、両国の子供たちにも届けられた。
兵庫と大阪にはさまれたこのちいさな街が、心をこめてまいた種は芽を吹き、枯れる事なく岡山、徳島、亀岡、小金井と受け継がれ今も育つ。
やがてその苗木が大きく花開くまで。

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