費用対効果考えて
最近リノベーションやリフォームの設計に携わることが多くなってきました。構造補強や快適な間取りの設計はもちろんですが、一番慎重になるのは断熱です。新築ならば一から組み立てるので、効果を想定することができますが、今ある住まいの場合、その構造や仕上げ方によって、どのように断熱をするか違ってくるので、設計者としてとても難しいところです。
室内外の気温が一番伝わりやすい窓の断熱を優先するのは基本ですが、ガラス交換から樹脂サッシまで選択肢の幅も広く、ご予算によって変わります。
夏の暑さ対策の小屋組みの断熱も、屋根の形状や材質によって違ってきます。1軒として同じ仕様はありません。
昨年リノベーションしたお住まいの施主さんが、冬の寒さが嫌で断熱をしっかりとお願いしたら、夏の冷房の効きもよくて驚いたとのこと。断熱と共に気密性も上がったので、冷房にも効果があったと思います。
断熱性や気密性が上がれば、冷暖房費等も下げることができますが、夏の朝涼しい時間帯は窓を開けて、暑くなる前に閉めるなど、屋外の気温と上手に関わることも大切です。
断熱の施工は仕上がれば見えなくなるので、素材や施工状況などがわかりにくいと思いますが、費用対効果を検討しながら、バランスの良い予算を組みましょう。
(「木族」2014年4月号より)