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国産材コラム

将来も見据えてプラン

住い考

リスクを恐れず提案したい

もう半袖でも暑いと感じるようになりました。季節が変わるのが早いと感じるのは私だけでしょうか。

 

最近、年をとったなとしみじみ感じます。昔は持論がきつ過ぎて、自分の考えがすべてというところがあったような気がします。自分を持つことはとてもいいことだと思うのですが、それを受け止めて、許し、尊重してくれる人がいるということをどれだけ認識してたか…。なんて今になって考えることがあります。

家づくりにおいても、自分の目指す家づくりの理想を持つことは当然必要と思いますが、その前提の上で、それを主張するのみならず、お施主さんが望むことを満たす引き出しを持っておくことが重要。満たすだけでなく、プロとしての付加価値をつけて提供する。それがよりいい家づくりになるように思います。最近、友人のプランニングの例について聞く機会がありました。

 

ご夫婦と、30代の子供2人の家づくりで、それほど面積に余裕がなく、子供室2部屋を造るとご夫婦がゆったりできる空間がとれないのです。友人は、ご夫婦の将来のこと=お子さんが自立すること=を考えて子供部屋を可動式にすることを提案。ただ可動となると多少音が漏れる部屋になります。音の漏れない壁にしてほしいとのお子さんからの要望に友人は「NO」と返答しました。

 

しっかりとした壁を設けると、将来ご夫婦2人になったとして、個室が並んだ部屋だけが残り、ゆったりとした空間はとれません。またまたリフォームとなるとそれなりの費用もかかります。

私は以上の話から建築士の意気を感じました。

 

誤解を恐れずにいうと、設計するにあたって深く踏み込まず、望まれる内容に沿って決めごとを行うほうが当然リスクも少なくなります。しかし出来上がる建物は「それなり」でしかないでしょう。

 

ご家族の生活に正面から取り組み、今後のライフスタイルまでも一緒に考え、提案する。それが「いい家づくり」につながると考えます。あたりさわりのないプランニングだけでなく、少しおせっかいな提案も必要ではないでしょうか。

 

(「木族」2015年6月号より)

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