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国産材コラム

木摺り下地の土壁採用

住い考

コスト削減し調湿効果大

暑いですね。最近外に出て、少し歩くだけで汗が吹き出てきます。湿度80%ですよ。そりゃあ蒸し蒸ししますよね。

 

私は、以前から量(大きさ)より質をテーマに、効率の良い家を追求しています。

 

最近思うのですが、収納の奥行きが無駄に大きいように感じます。モノを収納しても奥行きが深いため、空きスペースが残っている。収納するものに収納寸法を合わせれば合わせるほど、奥行きはそれほど必要ないように思います。

例えば下駄箱。靴・傘雨具その他小物などは奥行き35センチあれば充分。食器棚も利便性を考えれば、お皿を2列に重ねるよりも1枚の方が使いやすい。そう考えると40センチもあれば充分。食品庫も15センチあれば、ストックできる。書物類も30センチで大丈夫。

 

奥行きが必要なのは布団などを収納する押入れくらい。それ以外はそれほど必要ない。奥行きがそれほど必要なければ、収納スペースを各用途ごとに配置すれば、それほど場所を取りません。

 

収納するものをしっかり事前に考えて、用途ごとに、収納スペースを多く設ければ無駄なスペースは省けます。家は「住む」ための場なので、収納よりも家族が集うリビングやダイニングにゆとりを持たせたいですね。

 

今回の話したいこととはちょっとずれてしまいました。

 

今のこの夏の季節、室温を下げるためには断熱性を高めることで解決しますが、湿度を下げるとなれば簡単にはいきません。

 

今あるような高断熱の家で夏を快適に過ごすには、外と中をしっかり断熱した上で、エアコンを利用するしか方法はない。自然の風を利用したいと思っても、ジメジメした風だと余計不快になります。

 

このジメジメとした湿気を取り除く方法は昔の家にヒントがあり、やっぱり土なんですよ。

 

土に調湿性があることはみなさんもご存知だと思いますが、昔から当たり前のようにあった日本家屋(土壁)だと厚みも60mm塗りつけるので、夏の湿気を取り除いてくれ、室内は比較的ジメジメしません。

 

よく利用されている珪藻土など調湿性のある塗壁などは、せいぜい3㎜くらいの厚みしかないので、夏の70~80%の湿気を全て調湿するには無理があります。

 

しかし、昔ながらの土壁にすると、手間と費用がかかってきます。光熱費を考慮した費用対効果で言えば、簡単にペイできますが、イニシャルコストは必要になってきます。

 

今回取り組んでいる泉大津の家では、竹を編んで土を塗る昔ながらの土壁ではなく、室内に10㎜厚の木を細く入れた木摺(きずり)下地に、土を30㎜厚とし、リビングダイニング、寝室に塗るようにしています。

 

手間もコストも抑えることができます。夏の湿気を取り除いて、思いっきり窓を開け、風鈴の音を聞きながらひんやりとした風を感じ生活する。少し暑くなってきたら、団扇で風をつくる。これが昔からの夏の過ごし方のような気がします。
 
(「木族」2014年8月号より)

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