最近めっきり寒くなりましたよね。私は寒いのが大の苦手で、
11月の時点でかなり着込んでしまっています。もうすぐ
やってくる1月2月が恐怖です。
さて、設計を担当している2棟の建物が無事上棟しました。
棟が上がる光景を現場で見ていると「いよいよ家が建つのだ」
と実感します。お客さんと打ち合わせをした日々を振り返って
みると、いつも楽しく充実したものだったような気がします。
2棟いずれのお施主さんともに、ありがたいことに
ご指名いただきました。はじめから信頼を寄せていただいた
ということもあって、私としても設計のしがいもあり、
また打ち合わせもスムーズにできました。
お施主さんと価値観を共有でき、2人3脚で取り組めたと
自負しています。
やはり私は、家づくりにとって一番大事なことは信頼関係だと
思っています。家づくりを失敗しないために、お客さんが自ら
家の勉強をされたとしても、すべてを建築士に委ねないで済む
ということはありません。
私の経験としては、家の勉強をされることを否定はしませんが、
お施主さんご自身がどんな家にされたいか、どんなライフス
タイルを送りたいのかを考える方が大切な気がします。そして、
ご自分の考えに沿ってプランニングするような建築士を探して、
家づくりを委ねるのが賢明な判断だと思います。
お施主さんと建築士が価値観を共有できれば、おのずと楽しく、
いいもの(住まい)ができると断言できるような気もします。
私はよく「楽しむ」という言葉を使いますが、家を建てる方々に
とっては「楽しむ」までのハードルは結構高いと感じています。
「家は高い買い物」なので、より慎重に、より確実なものをと
考え、無難なものになってしまうのは必然なのかも知れません。
寒い家にならないだろうか?耐震強度は大丈夫だろうか?
お金は足りるだろうか?
希望に夢を膨らませるより先に、不安が頭に浮かんでしまう…
もちろん理解できます。その不安をなくすことも我々建築士の
仕事で、私はまず、ポジティブな夢の話をするように心がけています。
不安を解決するだけでは家づくりを楽しめません。やはり
ポジティブな夢を現実化させていくことによって、初めて「楽しむ」
という段階に進むことができるでしょう。
一生に一度の買い物だからこそ、楽しまないのはもったいない。
これはもちろん、家づくりだけに限ったことではないとも思われるのです。
今回の2棟の建物の完成を、お客さんと同じ気持ちで楽しみにしています。
この住まいの完成見学会を予定しています。素材は何を使っているのか?
断熱性はどのくらいか?といった面も大事ですが、何よりもお施主さんが
楽しんだ時間の結晶を見て欲しいと願っています。
(「木族」2013年12月号より)