灼熱の夏が終わり、短い秋を経て冬が来ました。夏の暑さから解放され、季節の移ろいを感じる喜びはありますが、気温に合わせての衣服や暮らしの調整は慌ただしいものです。
来年4月から建築基準法等の省エネ促進の改正で、省エネ基準の適合が義務化され、住まいは益々高気密・高断熱が当たり前になっていきます。
温熱環境を考えると、そうあるべきと思いますが、何かしら息が詰まるように感じる人も多いと思います。秋の心地よい風を感じる日は短く、春は花粉が気になり閉め切ってしまい、夏も窓を閉めて冷房をかけ、冬もほぼ開けること無く暖を取ります。一年を通して、窓を開けて換気をする日数は少なく貴重に思います。
そこで、肝心になるのが換気方法です。機械に頼るのに違和感は残りますが、一応はシックハウスを防ぐために、2時間で家の中の空気が入れ替わる風量の換気扇と給気口の取り付けが義務化されています。そのおかげで室内の湿度の調節に一役かっています。
他にも換気扇には、外気温度に左右されない熱交換タイプや、全館空調の方法もありますが、メンテナンス性をよく考えて採用してほしいところです。
生活をしていると、キッチンの煮炊きやお風呂の湿気、人の呼気でも湿度は上がります。上手に換気扇を使用することが大切になりますが、機械だけに頼らず、内装に調湿作用がある素材を使うことも重要で、合板の床でビニールクロス仕上げの壁天井のお部屋では、それこそ息が詰まる心地です。
高気密高断熱の家こそ、調湿作用の優れた杉材を床や天井に、漆喰ベースで竹炭とゼオライト(天然鉱物)が入った左官材料の「そよ風」を壁に採用し、快適な住まいにして欲しいです。
(建築士・ライフオーガナイザー=細江由理子)
~2024年木族12月号より~