築20年経った長崎の実家はそろそろ外壁が補修の時期を迎えていました。しかし父は昭和の頑固親父で「そんなのまだ必要ない」の一点張りで母を困らせていました。
そんなある日、飛込みで外壁リフォームの営業マンがやってきて、これも何かの縁と父はあっさり契約。こちらでは考えられない程の安い施工費が余計に怪しく、この時話を聞いていたら絶対反対したと思います。
しかし、その業者は毎日写真と共に工事の進捗状況を報告し、とても仕事が丁寧だったとか。足場を立てるために外した父の自作の葡萄棚の屋根まで、わざわざ大工さんが立派に直してくれて、父もえらい喜んだそうです。工事の様子を見ていたご近所さんから新たな仕事をもらえたと、最後は菓子折りまで頂いたそう。
固定概念を持ってはいけないと感じたものの、太陽光温水器とか、ミシンとか、帰省する度何かが増えており、飛込み営業マンの話で契約しがちな両親に心配が尽きません・・・。
(建築士事務所民家・設計部=矢野祐子)
~2023年木族6月号より~