プレゼン資料でパースを描く時、いつも思い出す人がいます。それは20代の頃に勤めていた工務店の社長。パースがまともに描けない私が常々社長に言われたのが
「このへったくそ!!」
でした。私はこの関東弁で、怒ると見た目が鬼瓦になる社長がとても苦手でした。
描くたび「このへったくそが!俺が手本を描いてやるから見てやがれ!」の繰り返し。
ある日描いたパースの隅に「○○様邸イメージパース」と記載したのを酷く怒られ「てめぇのはただのラフスケッチだ!俺の許可無くパースなんて名乗るんじゃねぇ!」と、書き換えさせられました。
その後許可をもらえぬまま社長は亡くなりました。今も描いたものには「○○様邸イメージスケッチ」と記載しています。
CGが主流の昨今、代表は「手書きは温かみがあって好きやで」と言ってくれます。先日私の描いたスケッチを見て、お施主さんが喜んでくださいました。とても嬉しかったです。
鬼瓦社長、私はまだパースに昇格出来ませんでしょうか、そんな事思いながら今もスケッチ描いています。
(2022年木族12月号より)