お問い合わせ
magazine
2026.08.03

やがて文化に・・・

7月のはじめに以前から気になっていた人形浄瑠璃の阿波十郎兵衛屋敷を訪ねた。

400年の歴史と1体の人形を3人で扱う高度な技術を各地域の農民が継承しているという。人形芝居用の農村舞台が80棟現存していることでも如何に大切に守られてきたかが伺える。

阿波十郎兵衛屋敷では人形芝居に親しんでもらうことを目的とし、人形の展示や木偶(でく=人形の頭)の製作写真、からくり人形の説明などこと細かく紹介している。人形遣いの体験をさせてもらったが、1体が3㎏~10㎏の人形を片手で支えるだけで体力を消耗する。

舞台は1日1~2回の講演を行うが、当日観客が2名であったにも関わらず、人形に魂が宿ったように見事に親子の情愛を表現していた。

古典芸能が好きで文楽や歌舞伎は時折観に行くが、洗練された技術もさることながら、農村地域で子供のころから営々と、この所作を受け継いでこられたかと思えば、なおさら心に深く響くものがあった。

現在でも木偶の彫師は徳島県内に30名おられ、他府県からの注文をこなすほどに立派に産業として成り立っているようだ。それもこれも息長く続けた結果であろう。地方にはさまざまな祭りや習わしがあるが、地域が一丸となって守り続ければ、お神楽しかり、浄瑠璃しかり、立派に文化として根付いている。

先日、知人のFacebookに感銘を受けた。経営理念を知っている社員は多くても、それを実践している社員はどれほどいるだろう。実践する人が増え、その思いが組織全体に伝わったとき、あの会社らしいと呼ばれる文化になる。知識を増やす教育でなく、文化を育てる教育を目指したい、とあった。

確かに文化にまで高めるのは並大抵の事ではない。一人一人の思いと行動が繋がり連動するにはそれを育てる柔らかくてしっかりした土壌も不可欠である。

先月、24年前のOBさんからリフォーム後のアンケートが届いた。

「新築してから24年、その間ずっとメンテナンスをしていただける会社が存在していることが有難い。会社や組織がどんどん移り変わっていく昨今、変わらずあり続けることはとても大切。これからもよろしくお願いします」と結ばれていた。

文化と認識されるにはほど遠いが、スポンジのように素直に吸収する心と感謝の気持ちがあれば、やがて文化として受け入れられる日も来るのではないだろうか。

その他の記事