せいてせかん
新築したという若いご夫婦の鉄骨造の家を見せてもらった。
全室空調に洒落たアイアンの階段と吹き抜け、2階のベランダは「屋上付き」とうたい込めるほど、大勢でBBQが出来るゆとりがある。どれをとっても若者が暮らしをイメージしやすく、憧れのデザインにあふれている。
施工内容を見たわけでもなく確たることは言えないが、裏に回ればどこに力をかけて施工されたかは自ずと分かる。
しかし家族が明るく笑いに満ち幸せに暮らせていれば何をか言わんやである。様々な刺激と気づきを与えられた。
近年、同じマンションに20年住み続けると、聞かずとも社会情勢を肌で感じる。年を追って上がる管理費に正比例するように、居住者の入れ替わりが頻繁になる。それに伴ってか毎年、数件のリフォーム工事があり、1,2カ月で床、壁、天井と水回りの入替えが施工される。
ところが今施工中のリフォームの工程表には3カ月とかなりの猶予期間が提示されている。工事内容にさほどの違いはなさそうだが、中東情勢を踏まえ、建築資材の入荷遅延を想定してのことかもしれない。
ご多分に漏れず当協会傘下の建築士事務所民家の倉庫も断熱材や建築資材でパンパンに埋められている。買いだめするつもりは毛頭ないが、
ストックが無い状態で仕事を受けられるはずもない。
仕事が増え多忙を極めると、どうしても仕事を詰めがちになる。現場作業も手際よく回していかないと手詰まりになりどこかに皺寄せがいくことになる。資材入荷の遅延があればなおさらである。
昔から追われる仕事に喜びはなく、仕事は追ってこそ生きると教えられた。
大阪にはいい言葉がある。「急いて急かん」(せいてせかん)という。「どっちやねん」と突っ込みたくもなるが、それで会話は成立し、何事もなくことは収まる。急いではいるけど無理のない程度で頼むと解釈している。
そんな悠長なことを言って大丈夫かと心配の向きもあるが、意外と期日内で収められるから不思議だ。相手の気遣いに対して応えたいという思いが繋がるのだろうか。何となく人間的ゆとりを感じて好きだ。
期限を切り、依頼するのもいいが、こんな時代こそ相手の立場に立って考えるのも良い。
差支えの無い時に、チョット使ってみてはいかがだろうか。


