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単に消費されるだけでなく

我が家は、築51年の木造2階建てです。建売でほぼ同じようなお家が並んでいる地域で、住んでいる世代もよく似ています。私たちは26年前に中古住宅として購入したので、アラカン(還暦近く)でもご近所さんからするとまだ若手です。

 

我が家の斜め向かいに袋小路があり、車の往来も少ないので、その角に90歳前後の近所の一人暮らしのご婦人3〜4人が小さな椅子を持ち寄り、晴れた日はほぼ毎日、持ち寄りの菓子で井戸端会議をし、明るい笑い声が聞こえる微笑ましい光景がありました。

しかし昨年、お一人を残し次々と入院または介護施設へ入られ、とうとう井戸端会議は無くなり、空家も増えて寂しくなりました。

その角に住んでいたご婦人もどうやら他界されたのか、家の家財を処分するゴミ収集車が家の前に停まり、ガシャンガシャンと家財を処分する大きな音が鳴り響き、耳も心も痛くなってきました。私も2年前に実家(マンション)を整理しましたが、このようにゴミ収集車では無かったとはいえ、母の抜け殻のような実家の整理は心痛みました。ご婦人の娘さんも全く見なくなりましたが、苦渋の決断だったかと思います。

追いかけて家の解体も始まりました。外装からみても傷みがある家なので、仕方ないかと思いますが、いつも香りを楽しませてくれていた、角にあった大きな金木犀(キンモクセイ)もあっけなく切られ、どんどんと作業も進み、1週間で更地になりました。仕事柄、解体工事はよく見ていますが、こんなに寂しい気持ちになったことは無かったです。

お元気だった頃のご婦人の顔が目に浮かぶからかだけでなく、次の新しい家への気持ちを持って見ていないのも大きい要因と気づきました。

 

ご家庭や建っている家毎にいろんな事情もありますが、消費していく家でなく、出来るだけ何代にもわたって住み継がれる家や、住み継ぐ改装の設計をしたいと思った出来事でした。

 

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