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2025.10.06
可能性を探る時間・・・皆様に感謝
◆家づくりの関所
家づくりには、完成までに通過すべき関所が数多く存在していて、最も超えるのが難しいのは予算の関所になります。
計画を進める序盤、理想の生活や心躍るデザイン、便利な設備が予備知識として数多く目に飛び込んで来て、完璧な家が頭の中で形成されます。
設計は、その理想に形を与えるお仕事なので、精一杯ご要望に答えるのですが、同時に予算という現実とのすり合わせを行う必要があります。これが大変辛い。
正直なところ予算オーバーするのは当たり前、減額案を盛り込んだ計画でも、往々にして予算の関所をギリギリ通れそうだが同時に躊躇するところに落ち着く。実際これは設計した私にも問題があり、最初から「そんな理想は捨ててあなたの身の丈に合った家はこれです。」と残酷でも答えを出せればいいのですが、語る理想や想いを知っているだけについついギリギリの可能性を探ってしまう。
今年お引き渡しを終えたお施主さんから「中津さんは絶対無理って言わないんですよ」と言葉をいただいたことがあります。さまざまな方法を模索し、共に難しい予算の関所を超えて完成までたどり着き、肯定的に頂いた言葉でしたが、今思えば、最後まで無理と言わず、粘り強く支えてくれたのはお施主さんの方でした。
予算オーバーの概算見積りに驚きながら、減額案を理解して最後まで実現の可能性を探る時間をいただいたことには、感謝しかありません。
今年はあと数件、予算の関所を超える案件があります。相変わらずギリギリの予算。どうか諦めずに前に進みますように。






